中東イスラム世界 社会統合研究会公式サイト



中東イスラム世界社会統合研究会

イラクのクルド人やスペイン・カタルーニャ地方住民の独立に向けての住民投票で如実に示された通り、少数派住民の分離独立の動きに対する政権側の対応は、極めて厳しく妥協の気配はありません。一方で、住民サイドでは抑圧に対する憤り、不満が高まり、それが地域の長期的不安定化を招いて、結果として政権側、住民側双方が大きな代償を強いられる危険が高まっています。当研究会は、世界の中でも、中東イスラム世界に焦点をあてて、多数派(支配者側)と独特のアイデンティティを共有する少数派が尊厳を維持して共存出来る社会統合の制度設計について、現実の地域情勢を踏まえて、公開情報を分析することにより望ましい地域社会の在り方を模索し、その成果物を通じ内外の人々に対して積極的に提言していきたいと考えています。

研究会ニュース

研究会の最新ニュースをお知らせします。

中東イスラム世界トピックス

中東イスラム世界の最新ニュースをお知らせします。各トピックの詳細はHP写真下のバナー「中東イスラム世界トピックス」をクリック願います。

  1. 直近
  2. 【シリア軍事情勢(ロシア国防省による西側3か国ミサイル攻撃に関する詳細分析報告】
    ◆ロシア連邦軍参謀本部作戦総局長セルゲイ・ロツコイ上級大将は、4月14日の西側3か国のシリアへのミサイル攻撃に関して、回収されたミサイルの残骸・破片、クレーター跡、標的の破壊状況その他を踏まえた詳細分析結果に関するブリーフィングを行った。この分析よれば、先の米国防総省の発表では、105のミサイルはすべて標的に命中したとの主張と裏腹に、着弾は22基のみであったと結論付けている。そして、ミサイルの一部は、明らかに技術的な理由で目標に到達できなかったとしたうえで、回収されたたトマホーク、ならびに空中精密ミサイル2基は既にモスクワに送付され、ロシア専門家により精査され、今後の対空防衛能力向上のために活用されることになると発言。

    【シリア情勢(仏米首脳会談共同記者会見注目点)】
    ◆4月24日のホワイトハウスにおけるマクロン仏大統領とトランプ米大統領の共同記者会見では、今後のイランへの対応に関連して、トランプ大統領は、①米軍はシリアから撤退したいが、そのためにはイランを封じ込める必要があること、②米国は中東で過去18年間に7兆ドルをつぎ込んだが何も見返りを得ていないこと、③裕福な国々(注:湾岸諸国を指す)に財政的、人的肩代わりを強く求めたこと(注:これに関連して、ジュベイル・サウジ外相は、断交中のカタールに米軍駐留経費の負担を求めるとともに、カタールのウデイド空軍基地から米軍が撤退すれば、カタール政権は1週間ももたずに、崩壊すると発言)、マクロン大統領は、シリア問題の解決には、イランの影響力拡大を阻止するため 新たに包括的な枠組みを立ち上げる必要があるとの認識を示したことが注目された。

    【中東和平(米国に追随した一部大使館のエルサレム移転の動き)】
    ◆4月19日ルーマニアの与党ドラグネア党首は、在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移転する決定は下され、そのための手続きを開始したと表明。20日外交の最終権限を有するヨハニス大統領は、相談に預かっていないとし否定的な姿勢を示したが、「ド」党首によれば、行政権を有するダンチラ首相の政権は18日エルサレムへの大使館移転を視野に手続きを開始することに同意したとされる。
     米国追随の動きについては、ルーマニア大使館のエルサレム移転が決定すれば、欧州諸国では初となり、EUの結束に風穴をあけることになる。ネタニヤフ・イスラエル首相は、現実を踏まえた和平を目指すべきで、現在、少なくとも6か国が大使館のエルサレムへの移転を検討していること、最初に移転する10か国に移転に際しての優遇措置を講じる意向を表明した。

    【シリア政権側による化学兵器使用疑惑(続報)】
    ◆4月19日ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、シリア政府軍が、最近解放された東グータで有毒な塩素ガスで満たされた独製の容器と英国のソールズベリーで製造された発煙弾を発見したと言明し、西側諸国の化学物質や武器が押収されたことで、それらの一部諸国の指導者たちの「人道に対する信義」が損なわれたと述べた。

    【シリア政権側による化学兵器使用疑惑】
    ◆OPCWの調査チームの動向とロシア24テレビによる化学兵器被害者とされた少年独占インタビュー
    1.OPCWの調査チームの動向
    ●4月18日、OPCWウズムジュ事務局長は,国連の偵察チームが、事前に行ったドューマの2地点で調査チームの安全を十分確認できなかったため、いつ現場での調査が可能になるか不明であるが、国連安全保障局(UNDSS)のゴーサインが出れば、調査が実施できるようになるとの見通しを明らかにした。
    2.ロシア24テレビによる化学兵器被害者とされた少年独占インタビュー
    ●ロシア24テレビは、4月7日にドューマでの化学兵器で被害にあったとされ、ホワイトヘルメットが撮影したとされるビデオでその映像が世界中に流された少年ハッサン・ディアブとの4月18日の独占インタビューを公表した。インタビューで、ハッサンは地下にいたときに、「病院に行け」との叫び声を聞き、病院に駆けつけると見知らぬ誰かが水を注ぎ始めたと語った。病院に駆け付けた父親は、民兵たちが撮影に参加した少年たちに食べ物を与えて、その後解放したのを目撃したと発言。少年の健康状態にはなんらの変化もないとのこと。

    【OPCWによるシリアにおける化学兵器調査】
    ◆OPCWによる現地調査とこれまでの査察報告
    1.シリア国営通信SANAが伝えたところでは、シリア政府の要請により、シリア入りしていた化学兵器禁止機関(OPCW)の調査団が4月17日、化学兵器が使用されたとされる首都ダマスカス近郊東グータ地区ドゥーマ入りした。シリアのジャファリ国連大使は国連のチームがドゥーマの治安状況が安定していると判断すれば、18日に作業を始めると述べた。
    2.今次三か国の武力攻撃をうけたシリアにおける化学兵器関連施設とされ破壊された3つの標的からは、化学兵器を構成する物質の空中への拡散をはじめ化学兵器破壊の痕跡は見出されていない。特に、化学兵器研究開発が行われてきたとされるシリア科学研究センターSSRCについては、2017年査察を受けており、違反行為は認められないと報告されていた。

    【軍事情勢(米・英・仏によるシリアへの武力行使、ロシア国防省の攻撃評価)】
    ◆4月16日、ロシア国防省は、今次三カ国によるシリアへの武力行使に関し、同省としての軍事的評価を発表したところ、ロシア側の説明によれば、今次攻撃では数か所以上の軍事飛行場等が対象となっており、これまでの米国防総省等による3か所のシリア国内の化学兵器関連施設のみを標的にしたという説明と大きな隔たりがある。またロシア側は、シリア軍の対空システムは112発の対空ミサイルを発射し、標的103のうち、71発の迎撃に成功したとしており、米国防総省等がブリーフしたシリアの防空網が全く効果がなく、一方で、三か国の攻撃が、「正確、圧倒的、効果的」であったとの説明とは大きな食い違いがある。

    【アラブ首脳会議最終声明主要点】
    ◆4月15日、サウジ東部ダハラーンで、サルマン・サウジ国王がホストし、第29回アラブ首脳会議がシリアを除く21か国・機関代表が参加して開催された。最終声明では、前日の米、英、仏によるシリアへの武力行使の直後であったが、今次シリア攻撃への評価、統一的見解は打ち出されなかった。今次首脳会議は、サウジ側は、昨年12月米国がエルサレムをイスラエルの首都として認めたことから、「エルサレム問題会合」と位置付けた。また、サウジがイエメン・ホーシー派から弾道ミサイル攻撃を受けていることを踏まえ、その後ろ盾であるとみなすイランを糾弾し、国際社会に対して、イランに弾道ミサイル供与等の支援を止めさせるよう制裁強化を訴えた。また、イランに対しては、アラブ諸国の内政干渉を停止し、とりわけ、シリア、イエメンから出ていくよう要求した。

    【軍事情勢(米・英・仏軍によるシリア化学兵器関連施設攻撃(続報)】
    ◆その後の注目点とりまとめ次のとおり。
    1.14日午前開催されたペンタゴン首席報道官ダーナ・ホワイト、ならびに統合参謀本部事務局長ケネス・マッキンゼー中将による国防総省におけるプレス・ブリーフィング骨子。
    ①今回の作戦は、正確、圧倒的、効果的という3つの言葉で表現される。
    ②今回攻撃に使用されたミサイルは計105発。第一目標のSSRCには、76発 第二目標のホムス近郊のヒム・シンシャール化学兵器貯蔵施設には、22発、 三目標の第二目標近郊にある装備貯蔵施設には、7発のミサイルが使用された。
    ③攻撃は、紅海、アラビア湾(ペルシャ湾)北部、東地中海に展開するミサイル搭載艦艇、潜水艦、ならびに空から米国のB-1爆撃機が、英国のトルネード、タイフーン戦闘機、仏のラファエル、ミラージュ戦闘機が参加し、すべても目標に到達した。
    ④シリア政権側は、40発以上の地対空ミサイルを発射したが、ほぼすべて 攻撃完了後の迎撃で、効果がなかった。ロシアの対空システムは使用されなかった。ロシアとは、衝突回避チャネルが存在する。

    【軍事(米、英、仏によるシリア化学兵器関連施設へのミサイル攻撃(第一報)】
    ◆米国時間13日夜、トランプ米大統領は、シリアの化学兵器能力に関連する目標に対して、米軍に精密攻撃を命じたと述べた。この命令をうけて、米国東海岸標準時13日21時(シリア時間14日午前4時前)に、米軍、英軍、仏軍による、空と海からのシリア国内の標的に対するミサイル攻撃が実施sされ、攻撃後、米国時間13日マティス国防長官、ダンフォード統合参謀本部議長と英、仏の軍関係者が共同で記者会見に臨んだところ、主要点次のとおり。
    ①仏、英、米はシリアの化学兵器関連施設に対して、シリアの化学兵器関連インフラを破壊するために断固とした行動をとった。
    第一目標は、シリア科学研究センターSSCR、二番目はホムス近郊の化学兵器貯蔵庫(サリン、およびその先駆物質貯蔵)、三番目は、第二目標近郊の化学兵器設備とその指令センター。
    ②この攻撃は、化学兵器のさらなる使用を控えさせるためにシリア政権に向けられたもので、我々は極力民間人や外国の被害を避けるために配慮。
    ③今回の作戦は、当面一回だけであり、次の攻撃計画は現時点で用意されていない。
    ④前回(2017年4月7日)は、単独、単発の攻撃であったが、今回は、合同かつ複数の標的を狙ったもの。
    ⑤シリア軍の地対空防衛システムの反撃はあったが、それ以外(注:ロシアやイランを指す)は確認されていない。
    ⑥米軍、英軍、仏軍の被害は報告されていない。
    ⑦ ロシア軍に対しては、事前に通常の衝突回避(deconflict)チャネルでの交信はあったが、目標の調整等は一切行っていない。

    【軍事(シリアへの米軍の攻撃の可能性高まる)】
    ◆10日の安保理でのシリアにおける化学兵器使用疑惑に関する緊急会合で、米国、ロシア双方が提出した安保理決議案がそれぞれ否決されたことにより、米国のシリア攻撃の可能性が一層高まっている。すでに誘導ミサイル搭載駆逐艦ドナルド・クックはキプロス・ラルナカ港を出港して、シリア沖合に展開したほか、空母ハリー・トルーマンの船団は東地中海に向かう予定。今回、攻撃が実施されれば、米単独の前回の攻撃よりも広範、かつ集団的攻撃になる可能性がある。このような状況下、シリアは、OPCWに対して化学兵器が使用されたとするデューマにおける現地調査実施を要請し、OPCW技術事務局も調査スタッフを派遣する用意があるとの声明を発出。

    【クルド情勢(トルコによる北イラクにおけるPKK勢力排除の動き)】
    ◆トルコ軍は、シリア領内のアフリーンのみならず、イラク領内でもPKK掃討を理由に、地上部隊を含む軍事作戦を開始していることが確認された。トルコ軍は、3月10日からイラク領内への越境進軍を開始。3月21日トルコのエルドアン大統領は、イラクに対して、もし、イラクがPKKの問題を解決できないのであれば、我々は誰にも告げずに一夜にして、シンジャールに到着するとの警告を発し、翌22日チャブシュオール外相は、トルコの軍隊、情報機関、外交当局は、シンジャールとトルコとイラクのクルド地域の間のカンディールに拠点を構えるPKK戦闘員を攻撃するあらゆる準備を整えている、と発言。これ発言通り、トルコ空軍は4月上旬からPKK拠点への空爆を強化し、また地上部隊を、PKKの拠点と目されるカンディールを目指して静かに南下している。

    【軍事情勢(その後判明したシリアT-4空軍基地へのミサイル攻撃続報)】
    ◆4月9日午前3時25分から3時53分までの間に偵察機とともに飛来した2機のイスラエル空軍機F-15がレバノン上空から誘導ミサイル8発をシリア領内に向けて発射し、シリアの防空システムがうち5発の迎撃に成功したが、3発がT-4空港付近に着弾。14名が死亡し、うち4名はイラン人(注:イランのファルス通信報道)とみられる。一方、米国のトランプ大統領は、24-48時間以内にシリア国内の標的を攻撃する可能性を示唆し、緊張が高まっている。

    【軍事情勢(シリア空軍基地へのミサイル攻撃)】
    ◆4月9日ロシアTVほかは、国営シリア通信(SANA)の報道をうけ、シリアのホムス県(パルミラ方面に向かう)東方の空軍基地T-4が少なくとも8発の巡航ミサイル攻撃を受け、死傷者が発生したと報じた。米国は、トランプ大統領が、東グータでアサド政権側が化学兵器を使用し、子供や女性を含む多数が殺害されたとして、ロシアのプーチン大統領とイランが、「けだもの」アサド大統領を支援している責任を負っており、その代償を支払わなければならないと8日午前ツイートし、米軍によるシリア政府軍への攻撃の恐れが高まっていた。米国防総省は、とりあえず米軍による攻撃実行を否定した模様。

    【クルド情勢(シリア北部マンビジ軍事評議会総司令官のインタビュー)】
    ◆トルコは、本年3月18日クルド人支配下にあったシリア北西部アフリンを制圧し、今後、マンビジ制圧を目指す意向を隠さず、また、トランプ米大統領が最近米軍のシリア撤退を示唆する発言を繰り返している中で、シリア北部ユーフラテス川西方の町マンビジが注目を集めている。4月5日、シリアのクルド系ANF通信社は、クルド人勢力の支援を受けているマンビジ軍事評議会のムハンマド・アブ・アーディル総司令官のインタビュー記事を掲載した。その中でアーディル司令官は、①マンビジを防衛しているのは、地元民で構成されるマンビジ軍事委員会であり、クルドを主体とするSDF(シリア民主軍)の大半は2016年10月に退去した、②米軍の支援をうけて軍事評議会の兵力は当初の600-700名から数千人規模に拡大した、③米軍は(トランプ大統領の発言にもかかわらず、現場サイドでは、トルコとクルド勢力の間に入って衝突が発生しないよう)兵力を増強しており、米軍司令官の話として、マンビジを見捨てないと述べたとしている点が注目される。

    【トルコ・シリア情勢(プーチン・エルドアン首脳会談注目点)】
    ◆4月3日にアンカラの大統領宮殿で実施されたプーチン・ロシア大統領、エルドアン・トルコ大統領首脳会談後の記者会見注目点は次のとおり。
    1.シリア情勢
    ● 4月4日、イランのローハニ大統領を交えて、シリア問題に関する三者会談を実施する。アスタナ・プロセス(2017年1月、トルコ、ロシア、イランの三国の保護のもとに、戦闘停止等について協議)を通じて緊張緩和地帯を設置しており、すべてが満足できる状態にあるわけではないが、民間人の被害の抑制には貢献している(エルドアン大統領)。
    ●シリアにおける優先事項は、領土の一体性維持、主権の尊重、テロの温床にならないことで、このような条件で、トルコと協力しており、また協力を継続していく(プーチン大統領)
    2.二国間関係
    (1)ロシア製地対空ミサイル迎撃システムS-400のトルコによる調達:双方は(当初予定の2020年第一四半期を前倒しして)納入時期を早める決定を下した(注:米国をはじめとするNATO諸国が強い懸念を有している)。
    (2)アックユ原発建設:原発の意義を強調(4基をロシアのロスアトムが建設)。完成時にはトルコの電力需要の約10%を供給予定。トルコ建国100周年にあたる2023年に1号基稼働予定。

    【サウジの内外関係(MbSサウジ皇太子インタビュー注目点)】
    ◆4月2日、米誌「アトランティック」の編集長ジェフリー・ゴールドバーグ氏が先般、ムハンマド・ビン・サルマン(MbS)サウジ皇太子との間で、ワシントンDC郊外の駐米サウジ大使公邸で実施したインタビュー記事がオンライン上掲載されたところ、MbS発言の注目点次のとおり。とくに、ヒトラーの方がイランのハメネイ最高指導者よりましであるとし、イランを悪のトライアングルの筆頭に挙げた点や、サウジのイスラム教義をワッハーブ主義に立脚するものとしていない点、イランの核合意の恩恵はイラン革命ガードが独占しており、国民には制裁解除の恩恵がもたらされていないこと、イラン国内で徐々に体制崩壊に向けての兆候が表れていること、イスラエルが固有の領土を所有することへの明確な支持を表明し、イスラエルとの共通の利益発展に強い期待を表明したこと、サウジ人女性の運転免許解禁等の社会変革を進める中で、女性の旅行の際の保護者同伴義務については、その解除には時間がかかる見通しを述べた点である。

    【中東和平(パレスチナ人の「土地の日」デモとイスラエル国防軍との衝突)】
    ◆3月30日の土地の日に際して、パレスチナ人は帰還実現のための大行進を開始。ガザ・イスラエル境界線近くに集結したパレスチナ人の一部は、イスラエル軍と衝突し、少なくとも16名が死亡し、数百名が負傷した。これは、イスラエルとハマースの軍事衝突が発生した2014年以来最大のイスラエル軍によるパレスチナ人が受けた人的被害。パレスチナ側はイスラエル建国が宣言された翌日の5月15日のナクバ(大厄災)まで6週間のデモ行進を続ける予定。5月14日には、米大使館のエルサレム開設も予定されている。

    【クルド情勢(シリア)】
    ◆マクロン仏大統領は、3月29日、エリーゼ宮に、シリア北部で有志連合とともにISIL掃討作戦に参加したシリア民主軍(SDF)を構成するPYD/YPG代表を含むクルド人使節団を招いて、約1時間にわたって会談した。これに対して、PYD/YPGをPKKと同根のテロリストとみなすトルコは仏の対応を非難するとともに、テロリストと対話することも、橋渡しも断固拒否すると激しく反発。折りからトランプ大統領は、シリアからの早期の撤退を示唆したことで、今後のマンビジを巡るトルコと米国、仏の駆け引きが注目される。

    【リビア情勢(カダフィー大佐次男復権に向けての動き)】
    ◆2011年のアラブの春における反体制派の蜂起により失脚・殺害されたリビアの指導者であったカダフィー大佐の次男セイフ・アル・イスラーム氏は、ユーロニュースの姉妹メディア・アフリカニュースに対して、①国を救うためにリビアの大統領選挙に立候補するつもりである、②(サルコジ元大統領のリビアからの不正な選挙キャンペーン資金受領疑惑に対して)自分自身を含めて数人の証人が証言する用意があると発言。

    【イラン情勢(ボルトン元米国連大使の国家安全保障補佐官任命の影響)】
    ◆3月22日、トランプ大統領はマクマスター国家安全保障問題担当大統領補佐官を解任し、ジョン・ボルトン元米国連大使の任命を決定した。ボルトン大使は、ハメネイ師を最高指導者とするイラン革命政権の打倒を明言する筋金入りのタカ派。トランプ大統領が側近を対イラン強硬派で固めたことで2015年のイランの核合意に関する米国の制裁猶予の次回期限である5月12日までにトランプ政権が、イラン核合意からの離脱を宣言するのか否かが注目される。

    【イラン情勢(トランプ大統領のノウルーズに際してのメッセージ)】
    ◆春の訪れを告げる3月19日のイランの新年ノウルーズ(Nowruz)に際して、トランプ米大統領は、声明の中で、イランの現政権及びイラン革命防衛隊(IRGC)がイラン国民の財産を奪い、海外でテロを主導していると批判。20日にはホワイトハウスで、ハメネイ最高指導者を中東のヒトラーとなぞらえたムハンマド・ビン・サルマン・サウジ皇太子との会談が予定されている。

    【クルド情勢(イラク)】
    ◆3月19日、イラク中央政府が国際航空便のKRG支配地域への飛行禁止を解除したことに伴い、サウジの旅客機が解禁後初めてエルビル空港に着陸。サウジ旅客機は、小巡礼(ウムラ)に向かう人々を搭乗させる予定。
    ◆3月19日イラク政府は、クルド自治政府(KRG)およびペシュメルガ兵士に対し、給与支払いのための送金を開始したと発表。一方、KRG財務省は、KRGは、140万人の公務員の給与支払いのため、9千億イラク・ディナール(約7億5940万ドル)を必要としているが、中央政府からはその約1/3の送金を受けたに過ぎないと発言。

    【クルド情勢(シリア)】
    ◆3月18日エルドアン大統領は、ガリポリの戦い(トルコは「チャナッカレの戦い」と呼ぶ)103周年記念日に際して、トルコ軍と自由シリア軍が同日午前8時半にアフリンの市内中心部を完全に制圧したと宣言した。クルド側YPG(クルド人民防衛隊)は、アフリンを死守することなく撤退し、市街戦は回避されたが、今後はゲリラ戦に転じると宣言。トルコ軍が、今後、ユーフラテス川西岸のマンビジ制圧を目指すのか否か、その場合のロシア、米国の対応が注目される。

    【イエメン情勢】
    ◆イエメン内戦の当事者である反政権側武装組織のホーシー派と2015年3月以来イエメンでの軍事作戦を開始したアラブ連合軍を率いるサウジ・アラビア政府関係者との間で、オマーン国内で秘密裡にイエメン紛争の包括的な解決を目指して協議を続けていることが判明。3月16日にアラーウィ外務担当国務相(実質的な外務大臣)がホーシー派に影響力を有するとみられるイランを訪問し、一方、対ホーシー軍事作戦を指揮しているムハンマド・ビン・サルマン・サウジ皇太子は、3月20日にホワイトハウスでトランプ大統領と会談を予定しており、イエメン内戦終結に向けて進展があるのか注目される。

    【イエメン情勢】
    ◆アラブ世界初の女性ノーベル平和賞受賞者(2011年)であるイエメン人タワックル・カルマーン女史は、ある日本人女性活動家がイエメン政府の許可なく、UAE経由でソコトラ島(世界遺産に登録されたインド洋の秘境)を訪問できると語ったことに関して、UAEは現在ソコトラ島およびイエメンの重要地域を占領しており、正統なイエメン政府に引き渡すべきであると発言。

    【軍事情勢(シリア)】
    ◆シリアの首都ダマスカスの東側に位置する東グータ地区におけるシリア政府軍部隊の進軍が続いており、2月24日の進撃開始後3月8日までに反体制派が支配していた東グータ地区の約5割を奪還。包囲網の西側と東側の要衝ベイト・サワ(Beit Sawa)を連結することによる東グータ地区の上下分断まで、約1kmに迫っている。

    【クルド(シリア】
    ◆2月27日、プラハでチェコ当局に拘禁されていたサーレハ・ムスリム前PYD共同代表は釈放された。トルコは、身柄引き渡しを求めていた。

    【クルド(シリア】
    ◆2月24日サーレハ・ムスリム・シリア民主統一党(PYD)前共同代表は、訪問中のチェコ・プラハのホテルでチェコ警察に拘束された。トルコは、PYDをテロ組織とみなすクルド労働者党(PKK)と同根のテロ組織とみなしており、ムスリム氏についてもチェコ当局に対してインターポールを通じた身柄拘束を要請していた。ムスリム氏は政治部門の代表として頻繁に欧州を訪問していた。

    【軍事情勢(シリア】
    ◆国連安保理は2月24日、シリアの東グータ地区等において人道支援を可能にするための30日間の敵対行為を遅滞なく停止(cessation of hostilities)することをすべての関係当事者に要求する決議2401を全会一致で採択(棄権なし、反対なし)。

    【中東和平(米国駐エルサレム大使館の開設予定)】
    ◆2月23日米国務省は、イスラエルの建国記念日にあたる5月14日にあわせて駐イスラエル米国大使館のエルサレム開設を現総領事館の施設の一部を利用して行うとの声明を発出。

    【軍事(シリア情勢)】
    ◆2月19日モスクワで開催された「中東におけるロシア、あらゆるフィールドにおける役割遂行」と題する恒例のバルダイ討論会開幕セッションでラブロフ・ロシア外相はスピーチし、米国はシリアで「火遊び」するべきではなく、国家の主権と領土の一体性を維持しなければならないと発言。

    【クルド(シリア)】
    ◆2月19日シリア国営TVは、シリア政府軍がまもなくシリア北西部アフリンのクルド人支配地帯に、政権側とクルド武装勢力との合意に基づき、進軍を開始すると報道。

    【宗派対立(イスラエル・イラン関係、イスラエル・アラブ諸国関係)】
    ◆2月18日、ミュンヘン安全保障会議でネタニヤフ・イスラエル首相は「我々は必要に応じて、イランの代理勢力(注:ヒズボラ等)だけでなく、イランそのものに対しても行動を躊躇わない、イスラエルの決意を決して試さないように」との警告を発した。 演説後の記者会見で、首相は、イスラエル同様イランを脅威とみなすアラブ諸国との関係に触れ、「イスラエルは、私が生涯で想像もできなかったほどのアラブ諸国との一過性ではない新たな関係を築いたという事実」に言及。

    【クルド(イラク)】
    ◆2月17日ミュンヘンでの安全保障会議のマージンで、2017年9月25日のイラク・クルディスタンの独立を問う住民投票以来、3度目となるネチルバン・バルザーニKRG首相とアバーディ・イラク首相の会談が実施された。

    【クルド(シリア)】
    ◆トルコ・米両国は、16日トルコを訪問中のティラーソン米国務長官とチャブシュオール・トルコ外相との会談後発出された共同プレス声明の中で、両国は懸案(注:米国のクルド支援や、クルド部隊のシリア北部マンビジからの撤退等クルド問題が議題の中心になるとみられる)を解決する決意を確認し、そのために結果重視のメカニズム構築に合意し、そのプロセスが3月中旬までには開始されると表明。

    【中東和平】
    ◆2月15日、オマーンのユースフ・ビン・アラウィ外務担当相(注:オマーンでは、カブース国王が外務大臣兼務)が、イスラム教徒にとっての第3の聖地とさられているエルサレムのアルアクサ・モスクと岩のドームを訪問。外交関係のないアラブ諸国の閣僚級の訪問としては異例。

    【イラク復興支援】
    ◆2月14日のイラク復興支援会合最終日の各国各機関の拠出表明額は、全体で300億ドルで、イラク政府が必要と試算した882億ドルに遠くは及ばなかった。

    【マイノリティ】
    ◆13日,ミャンマーの首都ネーピードーにおいて,反体制武装勢力の新モン州党(NMSP)とラフ民主連盟(LDU)の全国停戦合意(the National Ceasefire Agreement:NCA)への署名が行われました。

  3. 過去1~2か月
  4. 【中東和平】 エルサレム帰属に関する国連安保理決議案、米国拒否権発動(14対1)(2017年12月18日於:NY国連本部)
    【軍事】プーチン・ロシア大統領フメイミム空軍基地を電撃訪問し、ロシア軍の部分的撤退を表明(2017年12月11日 於:シリア)

  5. 過去1年
  6. それ以前

成果物

注目の出来事についてのコメント、解説、分析を項目ごとに掲載します。

  1. 【宗派対立】
  2. 【中東和平】
  3. 【クルド自治・独立】
  4. 【マイノリティ】
  5. 【復興】 シリア、イラク
  6. 【エネルギー】
  7. 【軍事・テロ対策】
  8. 【難民・国内避難民】
  9. 【文化・宗教】

当研究会について

1.名称:中東・イスラム世界社会統合研究会 Middle Eastern and Islamic World affairs Study Group focused on Social Integration
2.位置づけ:社会デザイン学会公認の研究会
3.趣旨
国際社会において民族、宗教、文化や言語、習慣の異なる人々の排斥、排除の趨勢が強まっている一方で、少数民族や少数宗派の独立、自治拡大の要求が強まっており、多数派や権力を行使する側との対立が深まり、本来的に不必要な混乱や不意の衝突が発生することが危惧されている。少数派が独自の文化・伝統や正当な権利を享受できるような多様性を許容する社会のありかた、少数派と多数派、あるいは権力側との共存を促す社会統合のための制度設計、取り組みについて、中東・イスラム世界に焦点をあて、現実の地域情勢を踏まえて分析するとともに、分析結果を積極的に日本語、および英語で発信する。
4.活動
(1)中東・イスラム世界で焦点があたっている民族・宗派対立の動き(例えば、スンニー派・シーア派の対立、パレスチナ問題、クルド自治・独立問題、ヤジディー教徒問題、イエメンやリビアの紛争、ミャンマー・ロヒンギャ問題、フィリピン・ムスリム住民のミンダナオ自治拡大問題等)をフォローし、対立の構図を浮き彫りにし、対立や混乱を回避しながら、紛争当事者がいかなる形態の政治的権利を主張し、何を確保したいのか、それに対して中央政府や周辺国はどのような立場をとるのか、妥協点はあるのかをまとめ、発信する。問題解決に向けての動きをまとめ、発信する。
(2)発信のベースとして、HPを立ち上げ、成果物を蓄積するとともに、特に重要と認められる成果物については、電子出版を検討する。
(3)不定期に中東・イスラム問題の専門家を招いて、公開・非公開勉強会を実施する(例えば、中東駐在の一時帰国者等)。

お薦め電子書籍・文献等

  1. 研究会関係者の電子書籍
  2. 研究会関係者発表の文献
  3. 研究会関係者の寄稿・記事等
  4. 電子出版にご関心のある方へ (電子出版に挑戦してみたい方へのお誘い)

写真ギャラリー

お問い合わせ

ご意見、ご質問、メッセージ等お気軽にお問合せください。