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中東イスラム世界社会統合研究会

イラクのクルド人やスペイン・カタルーニャ地方住民の独立に向けての住民投票で如実に示された通り、少数派住民の分離独立の動きに対する政権側の対応は、極めて厳しく妥協の気配はありません。一方で、住民サイドでは抑圧に対する憤り、不満が高まり、それが地域の長期的不安定化を招いて、結果として政権側、住民側双方が大きな代償を強いられる危険が高まっています。当研究会は、世界の中でも、中東イスラム世界に焦点をあてて、多数派(支配者側)と独特のアイデンティティを共有する少数派が尊厳を維持して共存出来る社会統合の制度設計について、現実の地域情勢を踏まえて、公開情報を分析することにより望ましい地域社会の在り方を模索し、その成果物を通じ内外の人々に対して積極的に提言していきたいと考えています。

研究会ニュース

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中東イスラム世界トピックス

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  1. 直近
  2. 【カショーギ殺害(サウジ検察による捜査結果概要発表)】
    ◆11月15日、サウジのシャアラーン副検事総長は、カショーギ氏殺害事件で拘束された21名の供述等に基づく捜査結果を発表した。その中で、事件は、説得または強制によりカショーギ氏を本国に連れ戻すための計画が失敗し、現場レベルで殺害が決定され、実行されたものと結論付けた。現場で殺害を決定、実行した容疑者5名に死刑が求刑され、その他6名が起訴されることが発表された。

    【米国のイラン核合意離脱(第二次制裁の発動)】
    ◆11月5日、米国財務省は、イラン核合意離脱に基づき解除されていたイランへの制裁再開の第二弾を発動した。今回の制裁再開の対象は、エネルギー、金融、造船、海運に及ぶ。財務省は、新たな対象300以上を含む700以上のイランの個人、団体、船舶、航空会社、航空機、原子力機関との取引を禁じるOFACの制裁対象リスト(SDN)リストに掲載したことを明らかにした。ポンペイオ国務長官は、イランが悔い改めて無法な行動を180度転換するか、さもなければ経済崩壊の危機に直面するであろうと発言し、イランの制裁対象機関と秘密裏に取引する企業等に厳罰を下すと警告した。

    【米国の対イラン第二次制裁再開(ポンペイオ、ムニューシン共同記者会見)】
    ◆11月2日、ポンペイオ国務長官、ムニューシン財務長官が共同記者会見に臨み、11月5日に再開される対イラン第二次制裁再開について説明した。この中で、イランに対しては、エネルギー、造船、運送、銀行部門で制裁が再開されること、イラン原油輸入国8か国には、削減したレベルで一時的な輸入を許すこと、原油販売代金は、取引国の口座(エスクロー勘定)で管理され、人道目的・制裁対象以外の取引に限って、資金の使用が認められること、国際金融決済の媒体であるSWIFTに、イランの金融機関との結びつきを遮断するよう要求。一時的な原油取引を許される8か国の名前は5日公表される予定で、インド、日本、韓国、トルコ、イラク、中国が含まれ、EUは含まれない見通し。

    【パレスチナ情勢(孤立感を深めるパレスチナ指導部)】
    ◆10月29日、パレスチナ中央評議会(PCC)は声明の中で、パレスチナ解放機構(PLO)によるイスラエル承認を取り消し、PLOとパレスチナ自治政府がイスラエルとの間で結んだ合意へのコミットメントの終了を決定したと発表した。また、PCCは、トランプ政権の「世紀の取引」と称する和平プランへの反対を表明したアッバース大統領の立場への支持を表明し、米国はイスラエル占領に加担する「解決」の一部ではなく、「問題」の一部になり果てたと糾弾した。
    この間、湾岸アラブ諸国のイスラエル接近が加速している。10月25-26日に、イスラエルの首相としては22年ぶりにネタニヤフ・イスラエル首相が夫人同伴でモサド長官らを同行しオマーンを訪問し、カブース国王と会談したが、27日アッラーウィ外務担当相は、バーレーンの会合でイスラエルを「この地域における現実の存在として受け入れるべき」であると述べた。

    【シリア情勢(4か国首脳会談)】
    ◆10月27日、エルドアン・トルコ大統領の呼びかけで、トルコのイスタンブールにプーチン・ロシア大統領、マクロン仏大統領、メルケル独首相が来訪し、シリア問題に関する4か国首脳会議が開催され(デミストゥラ国連シリア特別代表も同席)、会議終了後、年末までに新憲法草案を作成するための憲法委員会の設置と早期の委員会開催の呼びかけを含む共同声明が発出された。

    【イスラエル・アラブ諸国関係(ネタニヤフ首相のオマーン訪問)】
    ◆イスラエルのネタニヤフ首相は夫人同伴でオマーンを事前に公表することなく訪問した。オマーン訪問には、湾岸諸国政府との接触を担当しているモサドのヨシ・コーエン・モサド長官とメイ・ベン・シャバット国家安全保障顧問が同行した。一行は、10月25日マスカットに到着し、翌26日にイスラエルに帰国した。訪問は、ネタニヤフ首相帰国後、公表された。イスラエル首相のオマーン訪問は1996年のペレス首相以来22年ぶり。イスラエル首相府は、今次訪問を「カブース国王からの招待に基づくもので、両国間の長期にわたる接触の末実現したものであり、イスラエルと当該地域諸国との関係深化に向けた政策の一環であると声明で述べた。

    【サウジ人ジャーナリスト失踪事件】
    ◆10月16日、トランプ大統領は前日のサルマン国王に続き、疑惑の中心にいるムハンマド・ビン・サルマン(MbS)皇太子と直接電話したが、皇太子は、彼も、父親のサルマン国王もカショーギ氏の消息について何も知らないと疑惑を強く否定して、本格的な調査を開始したとの発言があったことを明らかにした。しかし、何も知らないはずのMbS皇太子は、10月3日の時点で、総領事館には同人がいないことを明確に認識していた。トランプ大統領は、APとのインタビューで、カバノー判事の例を引き合いに、サウジの「疑わしくは罰せず(推定無罪)」を主張した。一方、トルコ側は失踪事件当日総領事館に入った15名を重要参考人として捜査を続けるとともに、サウジ側の了解を得て、16日8時間にわたってトルコ総領事館内で法医学・鑑識調査を実施した。他方で、(殺害された場合、遺体が持ち込まれた可能性がある)総領事公邸への調査は実現していない。

    【トルコ米関係(ブランソン牧師の解放】
    ◆10月12日、イズミールの裁判所は、2016年12月に拘束し、2018年7月からは自宅軟禁状態に置かれていた福音派のアンドリュー・ブランソン牧師に対し、3年間の禁固刑を言い渡したが、同時に2016年12月以降の未決拘留期間も考慮し、自宅軟禁を解き、国外出国禁止措置を解除した。同牧師は、米軍機で独の米軍基地経由、13日には米国のアンドリュー空軍基地に到着し、直ちに、ホワイト・ハウスを訪問し、トランプ大統領の歓迎を受ける見通し同牧師の解放の知らせをうけて、低迷していたトルコ・リラは急騰。

    【カッショーギ氏失踪(米議会の動き)】
    ◆カショーギ氏失踪について、上院議員22名が大統領に10月10日付で書簡を発出し、グローバル・マグニッキー人権責任法に基づく制裁の有無を決定するための調査開始を要請。米国政府内でも、サンダース大統領府報道官によれば、過去2日のうちに、ボルトン大統領安全保障担当顧問、大統領娘婿のクシュナー上級顧問、ポンペイオ国務長官が相次いでムハンマド・ビン・サルマン(通称MbS)皇太子に電話し、事態のより詳細な情報提供と透明性のある調査を求めたとされる。

    【カショーギ氏失踪と米・サウジ関係】
    ◆10月2日の著名なサウジ人ジャーナリストであるジャマール・カショーギ氏のイスタンブールのサウジ総領事館訪問後の失踪・殺害憶測について, サウジと強い関係を有する米国政府はカショーギ氏の失踪・殺害憶測について、サウジ側にどのようにアプローチしているのかその内容を明らかにしていない。10月5日公開の米国ブルームバーグとのインタビュー(インタビューは3日実施)で、ムハンマド・ビン・サルマン(通称MbS)皇太子は、トランプ大統領の「サウジは、米国の支えがなければ2週間ももたない」とのやや侮辱ともとられかねない発言に関して、トランプ大統領と一緒に働くことは大好きで、そのため今後10年間の軍備の60%以上を米国から調達するように軍備戦略を変更したことや4千億ドルの軍備・投資・貿易機会を創出したことを強調していた。カショーギ氏の失踪の展開が米トランプ政権・サウジ関係にどのような影響を及ぼすのか注視する必要がある。

    【ロシア・インド首脳会議(注目点)】
    ◆10月5日、ニューデリーで開催されたプーチン・モディ首脳会談後、68項目が盛られた共同声明が発出されるとともに、両首脳による合同記者会見が実施された。最も注目されていたロシア製S-400対空防衛システムの売却については、声明の中で「双方は、S-400長距離地対空ミサイル・システムの供与契約の締結を歓迎した」とのみ短く言及され、合同記者会見では両首脳のいずれからも一切言及がなかった。経済関係については、2025年までに貿易額を300億ドル、投資額を150億ドルに増加させる目標を設定したとし、天然ガスや原発分野を含め、関係強化に取り組む意欲が示されたが、声明の中では、自国通貨での二国間貿易促進を後押しすることに短く言及された。

    【ロシアの対空防衛システムS-400のインドへの売却】
    ◆10月4日、プーチン大統領は、2日間の予定でインド訪問を開始。滞在中、インドとの間で、50億ドルにおよぶロシア製対空防衛システムS-400の売却契約に署名する予定。米国は、2017年8月、主にロシアとイランとの取引を行う者を念頭に置いた「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA))」を成立させており、米国は、売却契約が同法の「重大な取引」にあたるとして、インドに制裁を課す可能性を示唆し、調達を思い止まるよう説得していた。

    【イラク情勢(新執行部発足に向けた動き)】
    ◆10月2日、クルド愛国者同盟(PMU)所属で、イラク中央政府副首相、クルド自治政府首相を務めた経験を有するバルハム・サーレハ(58歳)がイラク新大統領に選出された。サーレハ大統領は、シーア派のベテラン政治家アーデル・アブドル・マハディ(76歳)に組閣を依頼した。マハディ首相候補は30日以内に新閣僚名簿を用意し、国民議会の承認を得る必要がある。

    【シリア情勢(ロシア製S-300対空防衛システムのシリアへの輸送完了)】
    ◆10月2日ショイグ・ロシア国防相は、プーチン大統領に対して、シリアへのロシア製対空防衛システムS-300を構成する49の部品、ならびにレーダー、司令車両、4基のミサイル・ランチャーのシリアへの輸送が完了したと報告。S-300システムは、10月1日ロシアが運用する世界最大の軍用機アントノフAn-124で、ラタキヤ近郊のフメイミム空軍基地に到着。

    【シリア情勢(ロシアのシリアへの対空防衛システムS-300の供与)】
    ◆9月17日のシリアの対空防衛システムS-200によるロシア空軍偵察機Il-20撃墜事故に関し、ロシア側はイスラエル空軍機F-16がロシア軍機を盾に使ったことにより事故が発生したものであり、イスラエル側に責任があるとの主張を、イスラエル空軍司令官のロシア訪問による説明後も変更しておらず、ロシア側は、シリアに対して従来供与を躊躇ってきたS-300システムの供与を決定。ラブロフ・ロシア外相は9月28日ニューヨークの国連総会での演説後記者会見し、S-300システム引き渡し作業は既に開始されたと表明。ムアッリム・シリア外相は、RTとのインタビューの中で同システムは戦争を意図したものではなく、防衛的なものであると説明。イスラエルのネタニヤフ首相は、9月24日電話会談でプーチン大統領に対し、無責任な者たち(すなわちシリア軍)の手元に高度の兵器システムを置くことは、当地域の危険を増大させるとして強い懸念を表明していた。

    【アラブ版NATO構想】
    ◆9月28日、国連総会のマージンで、ポンペイオ国務長官は、GCC+エジプト、ヨルダンの外相と合同で会談。米国務省は、アラブ版NATO構想とも称される「中東戦略同盟」立ち上げに向けて、建設的な議論を行ったと発表。

    【シリア情勢(ロシア軍機撃墜に関するロシアのイスラエルへの反応)】
    ◆9月17日夜ロシアのイリューシン(IL)-20偵察機が、シリア軍が運用するロシア製S-200防空システムによって撃墜され、ロシア軍の搭乗員15名が死亡した。ロシア国防省は、シリア軍関連施設を攻撃したイスラエル空軍機のパイロットが、ロシア軍偵察機を盾に使ったことが、この悲劇を招いたとして、イスラエル側の行為を非難した。これに対してイスラエルは、シリア国内の軍事関連施設を攻撃したことを認めつつ、責任はシリアとイランならびにヒズボラにあると主張。18日プーチン大統領に電話したネタニヤフ首相は、ロシア軍隊員の死去に哀悼の意を表するとともに、当日のイスラエル空軍の活動の詳細に関する情報をロシア側に提供すると約束。イスラエル関係者は、20日にモスクワを訪問する予定。一方、プーチン大統領は、18日遺族に哀悼の意を表するとともに、今回の事件は、2015年のトルコ軍機によるロシア軍機撃墜と異なり、イスラエル軍機がロシア軍機を撃ち落としたわけではなく、不幸の連鎖によるものであるとコメントした。

    【シリア情勢(イドリブに関するロシア・トルコ首脳会談)】
    ◆9月17日、ロシアのソチで開催されたプーチン・エルドアン首脳会談で、情勢が緊迫化していたシリアのイドリブ情勢への対応で、両首脳は、①政府軍・反体制派の境界線に沿って幅15~20kmの非武装地帯の設置と旧ヌスラ戦線を含む過激派の撤収、②重火器等の撤去、③トルコ・ロシア共同の非武装地帯の監視、④年末までのアレッポ・ラタキア間とアレッポ・ハマ間の幹線道路の通行の確保、に合意した。一方、エルドアン大統領は、「穏健な」反体制派は支配地区に留まると補足。プーチン大統領は合意に沿って、シリア政権側の了解を取り付けるとしており、当面、政府軍・ロシア軍によるイドリブの反体制派への大規模軍事作戦は見合わせることになった。

    【パレスチナ問題(米政府によるワシントンD.C.のPLO事務所閉鎖決定)】
    ◆米国務省は、PLOが米国の和平プランを非難し、協議の呼びかけに応じなかったこと、パレスチナ側がイスラエルの犯罪に対する裁きを求めて国際刑事裁判所に引き出そうとしていること等を理由に、9月10日ワシントンD.C.のPLO事務所閉鎖を決定したことを発表した。パレスチナ側はトランプ政権の決定に遺憾の意を表明し、米国の決定は和平をもたらす努力への宣戦布告であり、ICCへの働きかけも中止しないと反発した。米国は5月に大使館のエルサレム移転を実行したほか、8月末にはUNRWAへの拠出の全面停止を宣言し、パレスチナ側への圧力を強化している。

    【イエメン情勢(ジュネーブ和平協議開催失敗)】
    ◆9月6日からジュネーブで、国連主導で予定されていたハーディ政権側と反体制ホーシー派間の和平協議は、8日にいたってもホーシー派使節がジュネーブに現れず、開催に失敗した。ジュネーブで待機していたイエメン政権側代表団長ハーリド・ヤマニ外相は、ホーシー派を完全に無責任で、協議を妨害しようとしていると非難した。一方、ホーシー派の首領アブドル・マーレク・ホーシーは、テレビ・メッセージを通じて、サウジ主導の連合軍が、(ホーシー派使節団が使用しようとした)オマーンの航空機のサナア発着と飛行の運航許可を与えず、ジュネーブに赴くことができなかったと連合軍を非難した。一方、グリフィス国連イエメン特使は記者会見で、和平協議そのものがとん挫したとは考えておらず、近くホーシー派との接触を開始する意向を表明した。

    【シリア情勢(イドリブに関する3国首脳会議)】
    ◆9月7日、テヘランでプーチン・ロシア大統領、ローハニ・イラン大統領、エルドアン・トルコ大統領は、シリアのイドリブへの対応について会談し、共同声明を発出し、①シリア紛争には軍事的解決はありえず、交渉による政治プロセスを通じてのみ終結させることができる、②ソチのシリア国民対話会合と国連安全保障理事会決議2254の決定に沿って、政治プロセスを進めるために積極的な協力を継続する決意を再確認した、旨が盛り込まれた。しかし、間近に迫っているとされるシリア・ロシア軍のイドリブ総攻撃については、トルコは「停戦」を求め、一方、ロシア、イランは、シャーム解放機構(HTS)等のアルカーイダと関連するテロリスト組織支配の一掃を主張し、合意に至らなかった。

    【米国の第二次対イラン制裁再開(イラン産原油調達に関する各国の動き)】
    ◆11月5日の米国による対イラン第二次制裁再開をにらんで、イラン産原油の最大の輸入国である中国は、イランの国営イラン・タンカー会社(NITC)による輸送、イラン側付保によるイラン産原油購入継続を行う見通しとなった。第二の輸入国インドも中国方式に倣って、インドの国営石油・製油会社が、イラン産原油購入を継続することを承認した模様。一方、日本の石油元売り各社は、イラン産原油購入継続に関する米国との協議が決着せず、10月分からイラン産原油購入を停止した模様。イランの主要な原油輸出港は、ペルシャ湾奥のカーグ島(ハルグ島)であるが、ホルムズ海峡を経由しないオマーン湾に面したバンダル・ジャースクに原油積出基地を新たに設置する計画を打ち上げた趣き。

    【中東紛争(パラグアイの駐エルサレム大使館のテルアビブへの再移転)】
    ◆9月5日、パラグアイ外務省は、イスラエルとパレスチナとの二国家解決を支持し、5月21日にカルテス(前)大統領、ネタニヤフ首相が出席してエルサレムで開設した駐イスラエル大使館を再びテルアビブに戻すと発表した。これに対して、イスラエル政府は反発し、駐パラグアイ・イスラエル大使の本国召還ならびに駐パラグアイ大使館の閉鎖の意向を表明した。一方、パレスチナ暫定自治政府のリヤード・アル・マーリキー外交担当相は、パラグアイ政府の決定を歓迎して、速やかにパレスチナ大使館を開設すると発表した。

    【カナダ・サウジ関係の悪化】
    ◆カナダ・サウジ関係が悪化している。8月2日、3日にカナダの外交当局トップがツイッターで、サウジの女性人権活動家サマル・バダウィ氏の拘束に懸念を表明し、即時解放を求めたところ、サウジ政府は強く反発し、6日ツイッターで内政干渉であるとのメッセージを発しただけでなく、前日の5日に駐サウジ・カナダ大使の国外退去、駐カナダ・サウジ大使の召還措置をとった。さらに、新たなすべての貿易・投資関係の凍結、サウジ・カナダ間の国際航空便の運航停止に踏み切り、8月31日までの期限を切って、約8千名のサウジ人留学生の帰国を求めた。これに関しては、約20名のサウジ人学生がサウジ政府の意向に従わず、カナダへの残留を希望して、カナダ政府に亡命を申請。カナダ政府は人権問題への介入は躊躇わないと明言し、両国間の関係修復の糸口は現状では見いだせない状況にある。

    【パレスチナ問題(米国のUNRWA拠出完全停止)】
    ◆8月31日米国務省は、拡大する一方の不釣り合いなパレスチナ難民にサービスを提供する国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への米国の拠出を完全に停止し、今後は二国間援助等による別の支援方法を追求して、国連等と対話すると発表した。これに対して、9月1日、UNRWAは緊急声明を発出し、米国の決定は遺憾であり、UNRWAの運営が「救いがたいほど欠陥がある」とのコメントを拒絶した。米国は、2017年のUNRWAへの拠出国別ランキングでも、32%を占める最大拠出国であり、パレスチナ難民の教育や保健・医療分野への深刻な影響が危惧されている。

    【シリア情勢(イドリブを巡る情勢緊迫化)】
    ◆シリア軍が反体制派の拠点イドリブへの本格的軍事作戦の準備を進める中、ロシアとトルコ間の外交・治安当局者が最近2度にわたり、モスクワで協議し、さらに、モスクワには、サウジの外相、続いて、シリアの外相も訪問し、シリアの反体制派の拠点イドリブへの対応について、関係国間で緊迫した協議が継続している。ラブロフ・ロシア外相の一連の記者会見等での発言からは、①旧ヌスラ戦線のアルカーイダ系「シャーム解放機構」が、イドリブでの緊張緩和地帯を利用し、市民を盾に同地を支配し続けている、②いわゆる穏健な反体制派とテロリストと分離させ、テロリストの一掃を図る必要がある、として、イドリブの「シャーム解放機構」等ジハーディストへの攻撃の必要性を正当化した。

    【シリア復興(米国のシリア安定化予算の支出先変更)】
    ◆8月17日、ナウアート米国務省報道官は声明の中で、シリア北東部の安定化のための有志連合パートナー国等からの拠出ないしプレッジが、サウジからの1億ドル贈与とUAEからの0.5億ドルのプレッジを含む約3億ドルに達したこと等を踏まえ、米国がシリア安定化基金に予算化した約2.3億ドルを別の外交優先事項に支出先変更を行う決定を下したことを明らかにした。この決定は、シリアにおける米国の人道的援助に影響を及ぼすものではなく、米国は、ホワイトヘルメットや化学兵器対策等を含め、人道支援を継続すると言明した。

    【トルコ米関係(ブランソン牧師の拘束・解放をめぐる動き)】
    ◆既に様々な懸案を抱えるトルコと米国の両国関係が、イズミール在住の米国人ブランソン牧師の拘束・解放をめぐって悪化している。米国は、8月1日、牧師の解放を求めてトルコの閣僚2名を対象とした制裁を発動。さらに、8月10日、米国がトルコ産鉄鋼、アルミニウムに関税を倍増したことに対抗して、8月15日、トルコは米国産車両、アルコール、たばこ等に報復関税を課すことを決定。これに対して、米側は、さらなる制裁強化を示唆し、両国関係はさらに混迷の度合いを深めている。すでに長期低落傾向にあったトルコ・リラは、8月1日、対ドル最安値を更新。その後下落一方であったトルコ・リラが一旦下げ止まり、16日、トルコのカリン大統領府スポークスマンは、独、仏、カタール、クウェート、ロシアがトルコとの連帯を表明したと述べ、トルコのリラに対する投機的な環境を完全に排除したと強調した。

    【米国の対イラン制裁第一弾再開】
    ◆8月7日米国時間(東海岸)午前零時をもって、米政府は、5月8日のトランプ大統領によるイラン核合意からの離脱発表を受けて、制裁第一弾再開に踏み切った。8月6日米政府高官が背景ブリーフィングを行い、①制裁解除によってイランが得た資金が、イラン国民ではなく、シリアやイエメンやガザでのテロ活動に使用されており、その資金の流れを断つ必要があった、②今回の制裁再開は、米国紙幣の使用禁止や金属、カーペット、航空部門等の取引禁止を対象にしている、③トランプ大統領はイラン側により広範な協議を呼びかけている、と発言。第二弾は、エネルギー部門等を対象に、11月4日発動の予定。

    【米イラン関係】
    ◆7月27日、マティス国防長官は、ワシントンD.C.を来訪したアラウィ・オマーン外務担当相(注:オマーンはカブース国王が外相を兼任しているため、アラウィ外務担当相が実質的な外相とみなされている)と会談した。会談では、ホルムズ海峡の航行の自由をはじめとする地域情勢を中心に意見交換されたものとみられる。最近米・イラン間で激しい非難合戦が続いてきたことに関し、同日、マティス長官は、記者会見やテレビ・イベントで、イランの体制変革や政権転覆を計画しているわけではないと発言し、明らかに過熱している事態の鎮静化を意図したともみられる。

    【シリア情勢(イスラエルによるシリア軍機撃墜)】
    ◆7月24日、イスラエルは、イスラエル側境界内2kmの上空にシリア軍機が侵入したとして、対空防衛システムからの2発のミサイルを発射し、シリア軍戦闘機スホイ22が被弾し、ヤルムーク渓谷に墜落。シリア人パイロットは死亡した。ネタニヤフ首相は、シリア側は1974年の兵力引き離し協定を遵守すべきで、いかなる違反、領内侵入も許さないとコメント。一方、シリア国営通信SANAは、テロリスト攻撃中のシリア軍機を撃墜したことは、イスラエルとジハーディストとのつながりを示すものとして糾弾した。

    【ミンダナオ島におけるイスラム自治政府発足に向けての動き】
    ◆ドゥテルテ大統領は、7月23日の第三回目の施政方針演説で、「私の政権は、イスラム教徒が憲法の枠組みの中で、彼らの運命を描くことを否定しない。任期中に約束を果たしたい。」と述べ、フィリピン南部ミンダナオ島におけるイスラム教徒による自治政府樹立に向けた「バンサモロ基本法」(Bangsamoro Organic Law:BOL)に近く署名し、成立させることへの意欲を示した。これが実現すれば、40年にわたりフィリピン政府とイスラム勢力の間で対立と暫定和平が繰り返えされてきたミンダナオ島において、両者の関係が正常化し、同島内で今後実施される住民選挙を経て領域が決定したのち高度の自治統治機構(首相、議会、警察権力を有し、徴税権・予算編成・執行権ほかを有する)が誕生することになる。

    【シリア情勢(ホワイト・ヘルメットのシリア南部退去)】
    ◆7月21?22日にかけて、シリア軍が迫ってくる中、シリア南部反体制派支配地域で活動していたNGOであるシリア市民防衛隊(通称:ホワイト・ヘルメット)の隊員と家族は、イスラエル経由でヨルダンに脱出した。21日夜9時半ごろ、ゴラン高原のクネイトラに用意されたバスに一行が乗り込み、イスラエル国防軍(IDF)がオペレーションを支援した。当初、脱出した人数は800名とされたが、のちにヨルダン政府からは、422名と発表された。ヨルダン政府は、英国、独、カナダ(注:カナダは250名受け入れと報道された)が彼らを引き取るとの言質をとったうえで、3か月以内に彼らがヨルダンを出発するという条件で、ホワイト・ヘルメット関係者を受け入れたことを明らかにした。経由地となったイスラエルは、外務省声明で一行が米国や欧州諸国の要請に基づき、例外的な人道的配慮により、イスラエル領を通過して隣国に向かうことを認めたが、シリア内戦への不干渉政策は変わらないことを明らかにした。

    【イスラエル(ユダヤ人国民国家法の成立)】
    ◆7月19日、イスラエル国会(クネセト:議席数120)で、賛成62、反対55( 棄権2)で、ユダヤ人のみに自決の権利を認めたユダヤ人国民国家法が成立した。同法は、国の基本法と位置付けられ、最高法規に準ずる地位を有することになることから、150万人のアラブ系市民を代表するアラブ系議員からユダヤ人市民の優位につながるとして激しい反発があったが、法案推進派は、イスラエル国が「ユダヤ人の国民国家である」と法的に位置づけることの象徴的意義を重視。

    【米ロ首脳会談(中東関連注目点)】
    ◆7月16日ヘルシンキで実施された米ロ首脳会談後に共同記者会見が実施された。同会見の中で、中東情勢に関連して、トランプ大統領は、ISIS駆逐の状況からイランがシリアで恩恵を受けることは許さない、イスラエルの安全を守ると発言。一方、プーチン大統領は、テロリストがシリア南西部から一掃された後、ゴラン高原の状況は1974年のイスラエルとシリア軍の兵力引き離し協定と完全に合致しなければならないと発言し、シリア・イスラエル関係を内戦ぼっ発前の状況に戻すこと(すなわち、イランのプレゼンスが必要なくなること)への期待を表明した。また、プーチン大統領が、エネルギー価格の急激な上昇を望まないと発言したことに市場が反応し、過熱気味の原油価格が低下した。

    【シリア情勢他(イスラエル首相、イラン最高指導者外交顧問のプーチン大統領との会談)】
    ◆プーチン・ロシア大統領は、7月11日ネタニヤフ・イスラエル首相と、翌12日ベラヤティ・イラン最高指導者外交顧問とそれぞれ会談したところ、記者会見等における注目点次のとおり。
    ●ネタニヤフ・プーチン会談では、ネタニヤフ首相よりプーチン大統領に対し、アサド政権に対して行動する意思はない。イランをシリアから追い出してほしい、と要請。
    ●ベラヤティ・プーチン会談では、ベラヤティ顧問からプーチン大統領にハメネイ最高指導者ならびにローハニ大統領のメッセージを伝達。プーチン大統領は、ロシアは、500億ドル規模のイランへの石油部門の協力を行う用意があり、米国の制裁回避のために撤退する西側企業の肩代わりができると発言。

    【トルコ新政権発足】
    ◆7月9日、去る6月24日投開票された大統領選挙、国民議会選挙で、政治の実権を掌握することになったエルドアン大統領は新閣僚を任命し、公表した。閣僚数は、これまでの25から16に減少した。新たに副大統領ポストが設けられ、オクタイ前首相府事務次官(災害緊急事態管理局総裁も兼務)が就任した。外務、法務、内務の3名の閣僚が留任した。注目人事として、財務相にエルドアン大統領の娘婿のベラト・アルバイラック氏が任命された。また、国防相にアカル前参謀総長が昇格した。女性閣僚は2名であった。留任した3名の閣僚と横滑りのバイラック氏は、国民議会選挙で公正発展党(AKP)から立候補し当選したが、閣僚ポストと兼務できないため、議員を辞任し、AKP議員数は、295から291に減少した。エルドアン新政権にとっては、トルコ・リラの対ドル為替急落やインフレの亢進をうけての経済の立て直しが喫緊の課題。

    【米国の対イラン制裁再開(イラン政府、インド政府の対応)】
    ◆イランは、トランプ政権がイランのビジネスパートナーに対し11月4日までにイランの石油輸入を「ゼロ」にしないと制裁措置を発動すると警告したことをうけ、石油輸出を続ける方法を検討している。エスハグ・ジャハンギリ第一副大統領は、国営テレビで放送された経済イベントの演説で、イランの原油は商品取引所に提供され、民間部門は透明な方法でそれを輸出することができると述べた。

    中国に次いでイランの原油輸入の2番目の買い手であるインドは、モディ首相がインドは国連制裁以外の一方的な制裁には組しないと述べていたにもかかわらず、ヘイリー米国連大使とモディ首相の会談翌日、米国の金融システムにおけるインドのエクスポージャーを守るためとして、イランからの石油輸入の「劇的な削減またはゼロ化」に備えるよう精製業者に6月28日にすでに申し渡している。

    【米国の対イラン制裁再開(トルコの対応)】
    ◆6月27日、ニハット・ゼイベキジ・トルコ経済相は、米国の(諸外国に対するイラン産原油の輸入量を11月4日までにゼロにするようにとの)決定は、我々にとって拘束力のあるものではない。 もちろん、我々は国連の決定に従う。 それ以外には、自分たちの国益に従うだけである。 さらに、我々は友人イランが不公正な行為に直面しないように留意する、と発言。イランは2017年イラン原油の第4位の輸入国であり、中国やインドの対応が注目される。

    【米国の対イラン制裁再開(イラン産原油取引完全停止要請)】
    ◆米国は、5月8日に宣言したイラン核合意離脱に伴い、対イラン制裁を再開しており、イラン産原油取引を行っている国々に対して、180日を経過する11月4日までに輸入量をゼロにするよう求めた。イラン産原油の輸入量の多い中国やインド、日本や韓国の対応が注目される。

    【トルコ大統領選挙・議会選挙(速報)】
    ◆6月24日投開票が実施されたトルコ大統領選挙・議会選挙で、エルドアン大統領と与党公正発展党(AKP)が勝利した。投票率は、86.68%。大統領選挙は、投票箱開票率99.92%の段階で、エルドアン大統領が52.59%を獲得し、2位のムハレム・インジェ氏ほか5人の候補を大きく引き離した。AKPは、民主主義行動党(MHP)と人民連合を組んで、全体で53.66%、過半数300を上回る344議席を確保した。世俗派の共和人民党(CHP)は、146議席で、優良党(IYI)ほかとの国民連合全体としては、得票率33.94%、議席数189議席にとどまった。クルド系の人民民主主義党(HDP)は、得票率11.7%で67議席を確保した。昨年の憲法改正で大統領権限が大幅に強化される中で、エルドアン大統領は、少なくとも今後5年間実権型大統領として、政権運営にあたることになる。

    【石油価格(OPEC総会増産合意)】
    ◆22日のウィーンにおける第147回OPEC総会は、2016年11月の第141回OPEC総会で合意した加盟国全体で1日当たり120万バレル減産目標の2018年5月現在の遵守率152%から100%に緩和する(すなわち、増産する)ことで合意した。これにより、現在の生産水準から100万b/dの増産を目指すことになる。但し、現実には、経済危機に苦しむベネズエラの生産能力の向上が見込めないことや、米国のイラン核合意からの離脱による石油取引を含む制裁再開で、イランの原油生産の低下が予想されることから、60万b/d程度の増産に留まるとの見方がある。

    【エルドアン大統領への見方(アンワル元マレーシア副首相発言)】
    ◆イスタンブール滞在中のアンワル・イブラヒーム元マレーシア副首相は、トルコのアナドール通信とのインタビューに答え、エルドアン大統領をイスラム世界における数少ない正義のために声を上げることができる傑出した人物であると絶賛。また、収監中もエルドアン大統領は、自分や(政治家である)家族のために常に配慮してくれたことを明らかにした。アンワル氏が支えるマハティール政権は、ナジブ政権時代のサウジよりもトルコとの関係強化を進める可能性が強いとみられる。

    【トルコ・マイノリティ(アレヴィー派の権利強化)】
    ◆6月14日、イスタンブールでのトルコのイスラム教マイノリティであるアレヴィー派代表との会合において、ビナリ・ユルドルゥム首相は、アレヴィー派の礼拝所cemevisと文化センターに法的位置づけを与えると表明。来る6月24日の大統領選・議会選挙をにらんで、5月24日に、エルドアン大統領もAKPのマニフェストに言及して、同趣旨の発言を行っていた。アレヴィー派は、以前から権利の拡大を政府に求めており、一部で進展もみられるが、今回のトルコ指導部のアレヴィー派コミュニティに対するメッセージが具体的な権利拡大に結び付くのか、空手形に終わるのか、選挙結果とその後の政権側の対応が注目される。

    【シリア情勢(アサド大統領のイランAl-Alamテレビとのインタビュー)】
    ◆6月13日アサド・シリア大統領は、イランのAl-Alamテレビとのインタビューで、シリア南部戦線への対応で、政治的和解を選ぶか、武力解放するかは、ロシアが米国、イスラエルと調整中であり、その結果を待ちたいとの立場を表明。また、シリアとロシア、イランの同盟関係にほころびが出ているのではないかとの見方を否定。一方、シリア領内のイランの軍事基地の存在は否定しつつ、イラン人軍事顧問団の存在は認めた。

    【イエメン情勢(アラブ連合軍によるホデイダ港解放作戦)】
    ◆6月14日、国連の虐殺防止特別顧問アダマ・ディエン氏は、イエメン・ホデイダの状況に関する緊急声明を発し、アラブ連合軍によるホデイダ港への軍事作戦は、ホデイダ港周辺の60万人ならびにホデイダ港が人道援助の70%の入り口になっているとして援助物資に頼る約1千万人の民間人への破滅的な人道危機を招く可能性があると警告を発した。

    【シリア・クルド情勢(SDCの政権側との対話姿勢)】
    ◆クルド人民防衛隊(YPG)が主力のシリア民主軍(SDF)の政治部門であるシリア民主評議会(SDC)は、6月10日シリアのアサド政権との間で無条件で対話に応じる用意があると表明。SDCの幹部であるヒクマット・ハビーブはAFPに対して、SDFは現在シリアの領土の30%を支配しており、残りの広範な地帯を支配している政権側と交渉のテーブルにつき、解決策を見出したい、そして、シリア人以外の部隊は将来米軍を含め、シリアから退去すべきであると発言し、先般のアサド大統領がロシアテレビとのインタビューで表明したSDFに対するシリア人同士としての直接対話の呼びかけをSDFとSDCは受け入れる用意があることを明らかにした。

    【イラク・クルディスタン情勢(カンディール山PKK拠点壊滅を目指すトルコ軍の作戦開始】
    ◆6月11日エルドアン大統領は、PKK一掃のための軍事作戦開始を宣言。トルコ軍機20機が空爆を実施し、カンディール山の標的14か所を破壊したと発言。カンディールに向けた作戦は3月上旬に開始されており、トルコ軍は、すでに25kmイラク領内に越境侵攻。そこでトルコ軍は、11か所に基地を建設し、戦車、ヘリコプター、無人航空機・ドローンを動員させており、トルコ大統領選挙の6月24日をにらんで、エルドアン大統領がPKKの脅威から国民を守ることをアピールするためにもPKKへの攻撃が一層激しさを増していくものとみられる。この侵攻に、PKK排除でトルコと思惑が一致するクルド自治政府(KRG)は、内心歓迎し、イラク中央政府も事実上黙認しているとの見方がある。

    【イラク・クルディスタン情勢(ロシアとのエネルギー分野での協力促進)】
    ◆6月7日の国民対話実施後の記者会見で、プーチン大統領は、5月25日のロシア最大の国営石油会社ロスネフチ(Rosneft)とクルディスタン自治政府(KRG)との合意について問われた際、イラク当局とコンタクトを維持している、クルディスタンを含むイラクに関する計画は、合法で有望なものであり、イラク内部の紛争に介入したり、紛争をたきつけるものではなく、これらのプロジェクトはすべて、イラク・クルディスタン地域(KR)を含むイラクとの協力促進を目的としていると発言し、イラク中央政府との摩擦の存在を否定した。本件合意は、欧州、トルコ向けに合計200億立方メートルの天然ガスを輸出するパイプライン建設を目指すものと考えられている。

    【シリア・クルド情勢(YPGのマンビジ撤収)】
    ◆6月4日、ワシントンD.C.におけるチャブシュオール・トルコ外相とポンペイオ米国務長官との会談で、シリア北部のユーフラテス川西岸の都市マンビジからのクルド人民防衛隊(YPG)撤収と新たな統治機構立ち上げに向けてのロードマップが合意された。YPG総司令部は、6月5日発出した声明の中で、米トルコ合意の内容に言及することなく、マンビジに残っていた最後の軍事顧問団が撤収すると発表した。

    【ヨルダン情勢(首相交替)】
    ◆6月4日、アブドッラー2世国王は、ハニー・ムルキー首相の辞任を承認し、前内閣教育相で以前世銀エコノミストを務めたオマル・ラッザーズ氏を後任の首相に任命した。過去数日、政府の所得税増税法案の撤回等を求めてアンマン他数都市でデモが発生していた。デモは、6月2日、ムルキー首相が所得税、法人税法案撤回を拒絶したことから激しさを増していた。労働組合幹部は、内閣交代にもかかわらず、所得税の増税法案が撤回されないかぎり抗議行動を続けるとの姿勢を崩していない。ヨルダンは、2016年IMFとの間で、3年間723百万ドルの新たなクルジットライン(EFF)供与合意に達し、付加価値税(VAT)の導入や小麦等への補助金の打ち切り等貧困層を直撃する国民に不人気な措置を取らざるを得ない状況に置かれていた。

    【シリア情勢(アサド大統領のロシア・テレビとのインタビュー】
    ◆5月30日、ロシアテレビRTは、ダマスカスにおいてアサド・シリア大統領との単独インタビューを実施。その中で、アサド大統領は、米国が支援しているクルド主体のシリア民主軍(SDF)に対して政権側との交渉を呼びかけるとともに、交渉が失敗に終われば、(第二の手段として)彼らが米軍と一緒であろうがなかろうが、シリア軍はSDF支配地の解放に進まざるをえない。米国はシリアから去らねばならないと発言。

    【シリア・クルド情勢(マンビジを巡る米・トルコ協議)】
    ◆米国とトルコは、シリア北部でクルド勢力が実効支配するマンビジからのクルド人民防衛隊(YPG)の退去とその後の支配構造構築に向けてのロードマップを議論するため、5月25日、アンカラで作業部会会合を開催。この件でチャブシュオール・トルコ外相は、6月4日、ワシントンDCでポンペイオ米国務長官と会談し、合意成立を目指す予定。

    【イラク国民議会選挙(1021投票所の投票結果無効)】
    ◆イラク選挙管理委員会は、5月12日実施された国民議会選挙の投票結果について、数多くの苦情を受けて、国内9県10区域投票所954か所、在外選挙投票所67か所の投票結果、合計1021か所の投票結果を無効にした。今後全体の10%の電子開票結果と手作業による結果確認の乖離が25%以上あれば、すべての投票結果を手作業で確認しなおすことになり、選挙結果の確定、およびそれを受けた連立工作、新内閣の発足が大幅に遅れることは避けられない。

    【シリア軍事情勢(ロシア軍参謀本部説明)】
    ◆5月23日、ロシア連邦軍参謀本部作戦総局長セルゲイ・ロツコイ上級大将はシリア情勢を説明し、ロシア航空宇宙軍によって支援されたシリア政府軍は、イドリブ県の東部、ダマスカスの郊外東グータ、旧パレスチナ・キャンプでISISの最後の拠点ヤルムーク、東部カラムーン、ホムス県北部からテロリストを一掃したと発言。イドリブ県の緊張緩和地帯には、トルコが12か所、ロシアが10か所、イランが7か所の監視ポストを設置したと説明。

    【米国のイラン核合意離脱(ハメネイ最高指導者の欧州へのメッセージ)】
    ◆5月23日夕、ハメネイ・イラン革命最高指導者は、政府関係機関幹部を集めた会合で演説し,イランが核合意に留まる条件として欧州に対して、完全な石油取引の保証、欧州との金融取引を維持する方策の確保やイランのミサイル開発、中東域内での行動に干渉しないことを含む6項目の実行を求めた。

    【イラク国民議会選挙(最終結果)】
    ◆5月12日実施された国民議会選挙の最終結果が19日発表された。これによれば、イラク・シーア派指導者で、かつて米軍のイラク侵攻時には、米軍に抵抗し、現在はイランとも距離を置くムクタダー・サドル師のグループが最大議席54議席を獲得した。次に、イランと関係が深い公的動員勢力PMUが支持する征服者連合が47議席、そしてアバーディ現首相の勝利者連合が42議席と続いた。サドル師は、さっそく、アバーディ首相、ならびにアーメリ征服者連合代表らと連立内閣発足に向けた協議を開始した。サドル師の勝利は、共産党や世俗主義者と組んで、汚職や腐敗撲滅を訴えて支持を集め、特に最大選挙区バグダッドでトップを確保したことが大きい。クルド地域では、KDPが25席でトップを確保したが、過去2回の選挙でゴランの後塵を拝していたPUKが、創設者タラバーニ元連邦大統領の死去や2017年10月にキルクークを失ったにもかかわらず健闘し、18議席を確保した。

    【米国のイラン核合意離脱(新たな合意のための12項目の要求)】
    ◆5月21日、ポンペイオ米国務長官がワシントンD.C.のヘリテージ財団での演説で、イランに対して、イランと新たに合意する場合に含まれるべき12項目の要求を突き付けた。その要求に応えない場合は、イランはかつてないほどの厳しい制裁に直面するだろうと警告。これに対して、イランのローハニ大統領は、ポンペイオ発言に対して、「イランや世界に代わって決定を下すというあなた方(米国)はいったい何様であるのか」と国営通信を通じてコメントし、米国の一方的な要求を拒絶した。

    【中東和平(パレスチナ問題に関するOIC緊急サミット】
    ◆5月18日エルドアン・トルコ大統領の呼びかけでイスラム諸国会議機構(OIC)を構成する各国首脳や代表がイスタンブールに集まり、現下のパレスチナ情勢の悪化を踏まえ第7回OIC緊急サミットが開催された。サミットは、18日最終コミュニケを発出して閉幕した。最終声明では、(イ)ガザにおけるイスラエル軍の実力行使により多数のパレスチナ人に死傷者が出てことを調査報告するための独立した国際専門家委員会の設置、(ロ)米国のエルサレムへの大使館移転に追随する国に対して、適切な政治的経済的制裁を勧告するとともに、(ハ)パレスチナ人への人道支援等を行うUNRWAの予算確保のための支援強化をメンバー国に呼び掛けた点が特に注目される。

    【シリア情勢(アサド大統領のロシア訪問)】
    ◆5月17日、アサド・シリア大統領は、ロシアのソチを公式訪問し、プーチン大統領と会談。ペシュコフ大統領府報道官によれば、プーチン大統領は、シリアにおけるテロリストに対する偉大な勝利についてアサド大統領に祝意を伝え、両大統領は、包括的形態の政治プロセスを進めるための新たな状況を作り出すことが必要であるという点で認識を共有した。アサド大統領は、シリアの安定の状況は改善しており、政治プロセス推進のドアが開かれそうとしているとして、国連の憲法委員会に、シリアの現憲法の改訂を話し合うためシリア使節団を派遣する意向で、その使節団リストを送付することを明らかにした。今次会談の約1週間前に、ネタニヤフ・イスラエル首相がモスクワでプーチン大統領と会談しており、最近、イスラエル軍のシリア国内のイラン拠点への攻撃が繰り返されていることを踏まえ、イスラエルに口実を与え、緊張が不必要にエスカレートしないようシリア側に慎重な対応を求めたものとみられる。

    【米国のイラン核合意離脱(欧州の対応)】
    ◆5月15日ブラッセルで開催されたEU+3(英仏独)外相とイラン外相との米国のイラン核合意離脱と制裁再開決定をうけての合意救済に向けた協議結果に関し、モゲリーニEU外交・安全保障担当上級代表は、イラン核合意を維持するためにイランとの間で専門家ベースで、(米国による来る経済制裁再開の下で)経済・貿易・金融関係を如何に維持するかの具体策を話し合う,イランの核合意履行の対価として経済的関係維持は不可欠であり、核合意履行と弾道ミサイル開発などの他の課題は別であるが、核合意の履行が、他の課題対処にもよい機会を提供することになるとの見方を表明。

    【サウジ内政】
    ●サウジの実質的最高権力者とみなされるムハンマド・ビン・サルマン(通称MbS)皇太子が4月21日以来、公式の場に姿を現わしていないことにさまざまな憶測が飛び始めている。4月28日には、米国務長官に就任したばかりのポンペイオ長官がサウジを訪問したが、出迎えはジュベイル外相であり、翌29日のサルマン国王との会談でも同席した形跡はなく、また、個別の会談も報じられなかった。4月21日は、首都リヤドの王宮付近で銃声が聴かれ、サウジ当局は、おもちゃのドローンが制限区域内に侵入して発砲したものであるとしているが、その日以降に動静が不明になったという点に不可解さがある。MbS皇太子がどのようなタイミングで公の場に姿を現すのか注目される。

    【中東和平(米大使館のエルサレム移転)】
    ◆イスラエル建国70周年にあたる5月14日、米大使館のエルサレム移転記念式典が、米本国からトランプ大統領の娘イバンカ氏と夫のクシュナー大統領上級顧問ほか高官ならびに招待されたイスラエルに大使館を置く86か国のうち、33か国の代表が出席して開催された。トランプ大統領は祝賀のビデオ・メッセージを送った。一方、ガザ地区では、米大使館の移転に抗議するパレスチナ人がイスラエルとの境界付近で、イスラエル軍と衝突し、イスラエル軍が実弾を使用したため、5月14日夜の段階で少なくとも59名が殺害され、2千7百名以上が負傷した。大使館のエルサレム移転については、近くグアテマラ、ホンジュラスが移転を行い、パラグアイもそれに続くとみられる。米大使館の移転とパレスチナの民間人多数の死傷をうけて、トルコ政府は、駐米、駐イスラエル大使の一時帰国措置をとり、南アフリカも駐イスラエル大使を帰国させる措置をとったが、米国との関係を重視するアラブ諸国は、概して静かな反応にとどまっている。

    【イラク国会議員選挙(暫定結果)】
    ◆5月12日実施されたイラク国民議会選挙の暫定結果として、18選挙区のうち選挙管理委員会より発表された10区において、ムクタダー・サドル師の行進者連合が4つの選挙区でトップを確保し、バドル軍団の長で、公的動員勢力PMUを取りまとめるハーディ・アル・アーミリーの征服者連合が同じく4つの選挙区でトップを確保したが、最大選挙区バグダッドでトップとなったサドル師率いる連合の躍進が明らかになった。アバーディ首相率いる勝利連合は、バグダッド選挙区では5位で、その他の選挙区でも1位はなく、やや低迷。マーリキー元首相率いる法治国家連合はバグダッド選挙区でアバーディ首相の勝利連合を上回ったが、全体としては、低迷。新政権発足には165議席以上必要で、連立交渉は難航が見込まれ、新内閣発足まで長ければ数か月かかる可能性がある。現首相が続投するか否かにかかわらず、次期政権発足までは、アバーディ政権が続く。

    【イラン核合意(トランプ大統領の合意離脱表明)】
    ◆8日午後、トランプ大統領はイラン核合意(JCPOA)からの離脱を表明した。イラン政権はテロ支援国家の先頭に立って、危険なミサイルを輸出し、中東の紛争に油を注ぎ、テロリストの手先を支援している。イラン核合意によりイランは数十億ドルを手にして軍事予算は4割増加した。イランの核の平和利用はまやかしにすぎない。イランが嘘をついていたことは、先日のイスラエルのインテル情報の発表で明らかになった。核合意の査察条項では軍事施設を含む重要な場所への査察が制限されている。核合意は欠陥だらけで、イランによる核弾頭搭載の弾道ミサイル開発にも対処せず、テロ支援を含む地域の不安定化を招く行為をやめさせていない。核合意の欠陥にかんがみ、昨年10月、自分は、核合意を再交渉するか、終了させるべきであると宣言。そして、本年1月12日にこの条件を繰り返し表明したが、イランの指導者は再交渉を拒絶してきた。それゆえ、本日、自分は、米国が核合意から離脱することを宣言する。米国はイラン政権に対する制裁を再開し、イランを助けるいかなる国も米国によって強力な制裁を課されるであろう。本日の決定は、北朝鮮への重大なメッセージとなる。この瞬間、ポンペイオ国務長官は、金正恩委員長との会合のため、北朝鮮に向かっている、と発言。イランのローハニ大統領は米国の離脱を非合法であると非難しつつ、残りの国との間で核合意を維持するつもりであり、近く欧州、ロシア、中国と協議すると発言。

    【レバノン国政選挙】
    ◆5月6日、レバノンでは2017制定の新選挙法の下で、2009年以来初めての国会議員選挙が実施された。15選挙区には、597名の候補者が合計77の被選挙者リストに名を連ね、128議席を争って約370万人の有権者の審判を仰いだ。投票率は、49.2%で前回の54%を下回った。
    選挙結果に関する暫定発表では、親イランのシーア派組織ヒズボラと連携する勢力は、アッカール選挙区の結果発表前の段階で、ヒズボラ候補者の13議席を含め過半数を上回る65議席を少なくとも確保して、勢力を拡大した。ナスラッラー・ヒズボラ書記長は、7日テレビ演説し、「抵抗(レジスタンス)」運動の勝利を宣言した。一方、2009年の選挙では、33議席を有していたハリーリ首相が党首を務める未来潮流は、21議席へと約1/3の議席を失う敗北を喫した。キリスト教陣営では、レバノン内戦で血みどろの戦闘を繰り広げてきたアウン大統領の自由国民潮流のライバルでもあるサミール・ジャアジャア率いるレバノン軍団が8議席から15議席に躍進した。

    【イラン核合意(ネタニヤフ首相発言)】
    ◆4月30日ネタニヤフ首相発言要旨
    イスラエルのネタニヤフ首相は、イランが過去に核兵器の開発計画を進めていたことを示す「極秘ファイル」だとする資料を公開。ネタニヤフ首相は、冒頭英語でイランが2015年にファイルを隠蔽し、昨年テヘランの秘密の場所に移動させる取り組みを強化したと非難。これらのファイルは、ショラバード(Shorabad)地区の「何の変哲もない構造物」の中の大型の金庫に保管されていたと首相は述べた。米国も文書は真正なものでイランはうそをついていたと非難。米国のイラン核合意制裁解除を維持するか否かの期限である5月12日を控え、米国が核合意の「欠陥」を修正するための新たな核協議に向けて英、独、仏やEUとおりあうことができるのか注目される。因みに5月1日、イスラエル議会は、緊迫した状況下で、閣議全体の決定ではなく、首相と国防相のみの決定で、戦争の宣言、大規模軍事作戦の発動を行う権限を付与し(62-41で可決)、イランへの圧力を強めている。

    【中東和平(MbS皇太子の見方)】
    ◆イスラエルのテレビ・チャンネル10報道によれば、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン(MbS)皇太子は、3月28日ニューヨークでのユダヤ人指導者との会合で、パレスチナ人の歴代指導者は、過去40年にわたり過去幾度もイスラエルとの和平の機会を逃して、和平提案を拒否してきたと痛烈に批判した。皇太子は、「パレスチナ問題はサウジアラビア政府にとっての優先事項ではない」と述べ、「サウジにとってはイラン問題のように、緊急かつ重要に対処すべき数多くの事項がある」と述べた。

    【シリア政権側による化学兵器使用疑惑(ドゥーマ事件関係者のハーグにおける証言】
    ◆4月26日ロシア・テレビは、シリアのドゥーマで化学兵器の被害者とされたディアブ少年および現場で対応した医療関係者が出席してハーグのOPCW施設内で実施された記者会見の模様を放映し、出席者は、米国が主導したシリア攻撃の原因となった化学兵器使用の兆候は現場では認められず、ホワイト・ヘルメット作成のビデオは、仕組まれたものとの見方を明らかにした。ロシアのOPCW常駐代表であるアレクサンドル・シュルギンはハーグに招かれたドゥーマ事件の証人のうちの6人は、すでにOPCWの技術専門家から事情聴取されたことを明らかにした。

    【シリア軍事情勢(ロシア国防省による西側3か国ミサイル攻撃に関する詳細分析報告】
    ◆ロシア連邦軍参謀本部作戦総局長セルゲイ・ロツコイ上級大将は、4月14日の西側3か国のシリアへのミサイル攻撃に関して、回収されたミサイルの残骸・破片、クレーター跡、標的の破壊状況その他を踏まえた詳細分析結果に関するブリーフィングを行った。この分析よれば、先の米国防総省の発表では、105のミサイルはすべて標的に命中したとの主張と裏腹に、着弾は22基のみであったと結論付けている。そして、ミサイルの一部は、明らかに技術的な理由で目標に到達できなかったとしたうえで、回収されたたトマホーク、ならびに空中精密ミサイル2基は既にモスクワに送付され、ロシア専門家により精査され、今後の対空防衛能力向上のために活用されることになると発言。

    【シリア情勢(仏米首脳会談共同記者会見注目点)】
    ◆4月24日のホワイトハウスにおけるマクロン仏大統領とトランプ米大統領の共同記者会見では、今後のイランへの対応に関連して、トランプ大統領は、①米軍はシリアから撤退したいが、そのためにはイランを封じ込める必要があること、②米国は中東で過去18年間に7兆ドルをつぎ込んだが何も見返りを得ていないこと、③裕福な国々(注:湾岸諸国を指す)に財政的、人的肩代わりを強く求めたこと(注:これに関連して、ジュベイル・サウジ外相は、断交中のカタールに米軍駐留経費の負担を求めるとともに、カタールのウデイド空軍基地から米軍が撤退すれば、カタール政権は1週間ももたずに、崩壊すると発言)、マクロン大統領は、シリア問題の解決には、イランの影響力拡大を阻止するため 新たに包括的な枠組みを立ち上げる必要があるとの認識を示したことが注目された。

    【中東和平(米国に追随した一部大使館のエルサレム移転の動き)】
    ◆4月19日ルーマニアの与党ドラグネア党首は、在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移転する決定は下され、そのための手続きを開始したと表明。20日外交の最終権限を有するヨハニス大統領は、相談に預かっていないとし否定的な姿勢を示したが、「ド」党首によれば、行政権を有するダンチラ首相の政権は18日エルサレムへの大使館移転を視野に手続きを開始することに同意したとされる。
     米国追随の動きについては、ルーマニア大使館のエルサレム移転が決定すれば、欧州諸国では初となり、EUの結束に風穴をあけることになる。ネタニヤフ・イスラエル首相は、現実を踏まえた和平を目指すべきで、現在、少なくとも6か国が大使館のエルサレムへの移転を検討していること、最初に移転する10か国に移転に際しての優遇措置を講じる意向を表明した。

    【シリア政権側による化学兵器使用疑惑(続報)】
    ◆4月19日ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、シリア政府軍が、最近解放された東グータで有毒な塩素ガスで満たされた独製の容器と英国のソールズベリーで製造された発煙弾を発見したと言明し、西側諸国の化学物質や武器が押収されたことで、それらの一部諸国の指導者たちの「人道に対する信義」が損なわれたと述べた。

    【シリア政権側による化学兵器使用疑惑】
    ◆OPCWの調査チームの動向とロシア24テレビによる化学兵器被害者とされた少年独占インタビュー
    1.OPCWの調査チームの動向
    ●4月18日、OPCWウズムジュ事務局長は,国連の偵察チームが、事前に行ったドューマの2地点で調査チームの安全を十分確認できなかったため、いつ現場での調査が可能になるか不明であるが、国連安全保障局(UNDSS)のゴーサインが出れば、調査が実施できるようになるとの見通しを明らかにした。
    2.ロシア24テレビによる化学兵器被害者とされた少年独占インタビュー
    ●ロシア24テレビは、4月7日にドューマでの化学兵器で被害にあったとされ、ホワイトヘルメットが撮影したとされるビデオでその映像が世界中に流された少年ハッサン・ディアブとの4月18日の独占インタビューを公表した。インタビューで、ハッサンは地下にいたときに、「病院に行け」との叫び声を聞き、病院に駆けつけると見知らぬ誰かが水を注ぎ始めたと語った。病院に駆け付けた父親は、民兵たちが撮影に参加した少年たちに食べ物を与えて、その後解放したのを目撃したと発言。少年の健康状態にはなんらの変化もないとのこと。

    【OPCWによるシリアにおける化学兵器調査】
    ◆OPCWによる現地調査とこれまでの査察報告
    1.シリア国営通信SANAが伝えたところでは、シリア政府の要請により、シリア入りしていた化学兵器禁止機関(OPCW)の調査団が4月17日、化学兵器が使用されたとされる首都ダマスカス近郊東グータ地区ドゥーマ入りした。シリアのジャファリ国連大使は国連のチームがドゥーマの治安状況が安定していると判断すれば、18日に作業を始めると述べた。
    2.今次三か国の武力攻撃をうけたシリアにおける化学兵器関連施設とされ破壊された3つの標的からは、化学兵器を構成する物質の空中への拡散をはじめ化学兵器破壊の痕跡は見出されていない。特に、化学兵器研究開発が行われてきたとされるシリア科学研究センターSSRCについては、2017年査察を受けており、違反行為は認められないと報告されていた。

    【軍事情勢(米・英・仏によるシリアへの武力行使、ロシア国防省の攻撃評価)】
    ◆4月16日、ロシア国防省は、今次三カ国によるシリアへの武力行使に関し、同省としての軍事的評価を発表したところ、ロシア側の説明によれば、今次攻撃では数か所以上の軍事飛行場等が対象となっており、これまでの米国防総省等による3か所のシリア国内の化学兵器関連施設のみを標的にしたという説明と大きな隔たりがある。またロシア側は、シリア軍の対空システムは112発の対空ミサイルを発射し、標的103のうち、71発の迎撃に成功したとしており、米国防総省等がブリーフしたシリアの防空網が全く効果がなく、一方で、三か国の攻撃が、「正確、圧倒的、効果的」であったとの説明とは大きな食い違いがある。

    【アラブ首脳会議最終声明主要点】
    ◆4月15日、サウジ東部ダハラーンで、サルマン・サウジ国王がホストし、第29回アラブ首脳会議がシリアを除く21か国・機関代表が参加して開催された。最終声明では、前日の米、英、仏によるシリアへの武力行使の直後であったが、今次シリア攻撃への評価、統一的見解は打ち出されなかった。今次首脳会議は、サウジ側は、昨年12月米国がエルサレムをイスラエルの首都として認めたことから、「エルサレム問題会合」と位置付けた。また、サウジがイエメン・ホーシー派から弾道ミサイル攻撃を受けていることを踏まえ、その後ろ盾であるとみなすイランを糾弾し、国際社会に対して、イランに弾道ミサイル供与等の支援を止めさせるよう制裁強化を訴えた。また、イランに対しては、アラブ諸国の内政干渉を停止し、とりわけ、シリア、イエメンから出ていくよう要求した。

    【軍事情勢(米・英・仏軍によるシリア化学兵器関連施設攻撃(続報)】
    ◆その後の注目点とりまとめ次のとおり。
    1.14日午前開催されたペンタゴン首席報道官ダーナ・ホワイト、ならびに統合参謀本部事務局長ケネス・マッキンゼー中将による国防総省におけるプレス・ブリーフィング骨子。
    ①今回の作戦は、正確、圧倒的、効果的という3つの言葉で表現される。
    ②今回攻撃に使用されたミサイルは計105発。第一目標のSSRCには、76発 第二目標のホムス近郊のヒム・シンシャール化学兵器貯蔵施設には、22発、 三目標の第二目標近郊にある装備貯蔵施設には、7発のミサイルが使用された。
    ③攻撃は、紅海、アラビア湾(ペルシャ湾)北部、東地中海に展開するミサイル搭載艦艇、潜水艦、ならびに空から米国のB-1爆撃機が、英国のトルネード、タイフーン戦闘機、仏のラファエル、ミラージュ戦闘機が参加し、すべても目標に到達した。
    ④シリア政権側は、40発以上の地対空ミサイルを発射したが、ほぼすべて 攻撃完了後の迎撃で、効果がなかった。ロシアの対空システムは使用されなかった。ロシアとは、衝突回避チャネルが存在する。

    【軍事(米、英、仏によるシリア化学兵器関連施設へのミサイル攻撃(第一報)】
    ◆米国時間13日夜、トランプ米大統領は、シリアの化学兵器能力に関連する目標に対して、米軍に精密攻撃を命じたと述べた。この命令をうけて、米国東海岸標準時13日21時(シリア時間14日午前4時前)に、米軍、英軍、仏軍による、空と海からのシリア国内の標的に対するミサイル攻撃が実施sされ、攻撃後、米国時間13日マティス国防長官、ダンフォード統合参謀本部議長と英、仏の軍関係者が共同で記者会見に臨んだところ、主要点次のとおり。
    ①仏、英、米はシリアの化学兵器関連施設に対して、シリアの化学兵器関連インフラを破壊するために断固とした行動をとった。
    第一目標は、シリア科学研究センターSSCR、二番目はホムス近郊の化学兵器貯蔵庫(サリン、およびその先駆物質貯蔵)、三番目は、第二目標近郊の化学兵器設備とその指令センター。
    ②この攻撃は、化学兵器のさらなる使用を控えさせるためにシリア政権に向けられたもので、我々は極力民間人や外国の被害を避けるために配慮。
    ③今回の作戦は、当面一回だけであり、次の攻撃計画は現時点で用意されていない。
    ④前回(2017年4月7日)は、単独、単発の攻撃であったが、今回は、合同かつ複数の標的を狙ったもの。
    ⑤シリア軍の地対空防衛システムの反撃はあったが、それ以外(注:ロシアやイランを指す)は確認されていない。
    ⑥米軍、英軍、仏軍の被害は報告されていない。
    ⑦ ロシア軍に対しては、事前に通常の衝突回避(deconflict)チャネルでの交信はあったが、目標の調整等は一切行っていない。

    【軍事(シリアへの米軍の攻撃の可能性高まる)】
    ◆10日の安保理でのシリアにおける化学兵器使用疑惑に関する緊急会合で、米国、ロシア双方が提出した安保理決議案がそれぞれ否決されたことにより、米国のシリア攻撃の可能性が一層高まっている。すでに誘導ミサイル搭載駆逐艦ドナルド・クックはキプロス・ラルナカ港を出港して、シリア沖合に展開したほか、空母ハリー・トルーマンの船団は東地中海に向かう予定。今回、攻撃が実施されれば、米単独の前回の攻撃よりも広範、かつ集団的攻撃になる可能性がある。このような状況下、シリアは、OPCWに対して化学兵器が使用されたとするデューマにおける現地調査実施を要請し、OPCW技術事務局も調査スタッフを派遣する用意があるとの声明を発出。

    【クルド情勢(トルコによる北イラクにおけるPKK勢力排除の動き)】
    ◆トルコ軍は、シリア領内のアフリーンのみならず、イラク領内でもPKK掃討を理由に、地上部隊を含む軍事作戦を開始していることが確認された。トルコ軍は、3月10日からイラク領内への越境進軍を開始。3月21日トルコのエルドアン大統領は、イラクに対して、もし、イラクがPKKの問題を解決できないのであれば、我々は誰にも告げずに一夜にして、シンジャールに到着するとの警告を発し、翌22日チャブシュオール外相は、トルコの軍隊、情報機関、外交当局は、シンジャールとトルコとイラクのクルド地域の間のカンディールに拠点を構えるPKK戦闘員を攻撃するあらゆる準備を整えている、と発言。これ発言通り、トルコ空軍は4月上旬からPKK拠点への空爆を強化し、また地上部隊を、PKKの拠点と目されるカンディールを目指して静かに南下している。

    【軍事情勢(その後判明したシリアT-4空軍基地へのミサイル攻撃続報)】
    ◆4月9日午前3時25分から3時53分までの間に偵察機とともに飛来した2機のイスラエル空軍機F-15がレバノン上空から誘導ミサイル8発をシリア領内に向けて発射し、シリアの防空システムがうち5発の迎撃に成功したが、3発がT-4空港付近に着弾。14名が死亡し、うち4名はイラン人(注:イランのファルス通信報道)とみられる。一方、米国のトランプ大統領は、24-48時間以内にシリア国内の標的を攻撃する可能性を示唆し、緊張が高まっている。

    【軍事情勢(シリア空軍基地へのミサイル攻撃)】
    ◆4月9日ロシアTVほかは、国営シリア通信(SANA)の報道をうけ、シリアのホムス県(パルミラ方面に向かう)東方の空軍基地T-4が少なくとも8発の巡航ミサイル攻撃を受け、死傷者が発生したと報じた。米国は、トランプ大統領が、東グータでアサド政権側が化学兵器を使用し、子供や女性を含む多数が殺害されたとして、ロシアのプーチン大統領とイランが、「けだもの」アサド大統領を支援している責任を負っており、その代償を支払わなければならないと8日午前ツイートし、米軍によるシリア政府軍への攻撃の恐れが高まっていた。米国防総省は、とりあえず米軍による攻撃実行を否定した模様。

    【クルド情勢(シリア北部マンビジ軍事評議会総司令官のインタビュー)】
    ◆トルコは、本年3月18日クルド人支配下にあったシリア北西部アフリンを制圧し、今後、マンビジ制圧を目指す意向を隠さず、また、トランプ米大統領が最近米軍のシリア撤退を示唆する発言を繰り返している中で、シリア北部ユーフラテス川西方の町マンビジが注目を集めている。4月5日、シリアのクルド系ANF通信社は、クルド人勢力の支援を受けているマンビジ軍事評議会のムハンマド・アブ・アーディル総司令官のインタビュー記事を掲載した。その中でアーディル司令官は、①マンビジを防衛しているのは、地元民で構成されるマンビジ軍事委員会であり、クルドを主体とするSDF(シリア民主軍)の大半は2016年10月に退去した、②米軍の支援をうけて軍事評議会の兵力は当初の600-700名から数千人規模に拡大した、③米軍は(トランプ大統領の発言にもかかわらず、現場サイドでは、トルコとクルド勢力の間に入って衝突が発生しないよう)兵力を増強しており、米軍司令官の話として、マンビジを見捨てないと述べたとしている点が注目される。

    【トルコ・シリア情勢(プーチン・エルドアン首脳会談注目点)】
    ◆4月3日にアンカラの大統領宮殿で実施されたプーチン・ロシア大統領、エルドアン・トルコ大統領首脳会談後の記者会見注目点は次のとおり。
    1.シリア情勢
    ● 4月4日、イランのローハニ大統領を交えて、シリア問題に関する三者会談を実施する。アスタナ・プロセス(2017年1月、トルコ、ロシア、イランの三国の保護のもとに、戦闘停止等について協議)を通じて緊張緩和地帯を設置しており、すべてが満足できる状態にあるわけではないが、民間人の被害の抑制には貢献している(エルドアン大統領)。
    ●シリアにおける優先事項は、領土の一体性維持、主権の尊重、テロの温床にならないことで、このような条件で、トルコと協力しており、また協力を継続していく(プーチン大統領)
    2.二国間関係
    (1)ロシア製地対空ミサイル迎撃システムS-400のトルコによる調達:双方は(当初予定の2020年第一四半期を前倒しして)納入時期を早める決定を下した(注:米国をはじめとするNATO諸国が強い懸念を有している)。
    (2)アックユ原発建設:原発の意義を強調(4基をロシアのロスアトムが建設)。完成時にはトルコの電力需要の約10%を供給予定。トルコ建国100周年にあたる2023年に1号基稼働予定。

    【サウジの内外関係(MbSサウジ皇太子インタビュー注目点)】
    ◆4月2日、米誌「アトランティック」の編集長ジェフリー・ゴールドバーグ氏が先般、ムハンマド・ビン・サルマン(MbS)サウジ皇太子との間で、ワシントンDC郊外の駐米サウジ大使公邸で実施したインタビュー記事がオンライン上掲載されたところ、MbS発言の注目点次のとおり。とくに、ヒトラーの方がイランのハメネイ最高指導者よりましであるとし、イランを悪のトライアングルの筆頭に挙げた点や、サウジのイスラム教義をワッハーブ主義に立脚するものとしていない点、イランの核合意の恩恵はイラン革命ガードが独占しており、国民には制裁解除の恩恵がもたらされていないこと、イラン国内で徐々に体制崩壊に向けての兆候が表れていること、イスラエルが固有の領土を所有することへの明確な支持を表明し、イスラエルとの共通の利益発展に強い期待を表明したこと、サウジ人女性の運転免許解禁等の社会変革を進める中で、女性の旅行の際の保護者同伴義務については、その解除には時間がかかる見通しを述べた点である。

    【中東和平(パレスチナ人の「土地の日」デモとイスラエル国防軍との衝突)】
    ◆3月30日の土地の日に際して、パレスチナ人は帰還実現のための大行進を開始。ガザ・イスラエル境界線近くに集結したパレスチナ人の一部は、イスラエル軍と衝突し、少なくとも16名が死亡し、数百名が負傷した。これは、イスラエルとハマースの軍事衝突が発生した2014年以来最大のイスラエル軍によるパレスチナ人が受けた人的被害。パレスチナ側はイスラエル建国が宣言された翌日の5月15日のナクバ(大厄災)まで6週間のデモ行進を続ける予定。5月14日には、米大使館のエルサレム開設も予定されている。

    【クルド情勢(シリア)】
    ◆マクロン仏大統領は、3月29日、エリーゼ宮に、シリア北部で有志連合とともにISIL掃討作戦に参加したシリア民主軍(SDF)を構成するPYD/YPG代表を含むクルド人使節団を招いて、約1時間にわたって会談した。これに対して、PYD/YPGをPKKと同根のテロリストとみなすトルコは仏の対応を非難するとともに、テロリストと対話することも、橋渡しも断固拒否すると激しく反発。折りからトランプ大統領は、シリアからの早期の撤退を示唆したことで、今後のマンビジを巡るトルコと米国、仏の駆け引きが注目される。

    【リビア情勢(カダフィー大佐次男復権に向けての動き)】
    ◆2011年のアラブの春における反体制派の蜂起により失脚・殺害されたリビアの指導者であったカダフィー大佐の次男セイフ・アル・イスラーム氏は、ユーロニュースの姉妹メディア・アフリカニュースに対して、①国を救うためにリビアの大統領選挙に立候補するつもりである、②(サルコジ元大統領のリビアからの不正な選挙キャンペーン資金受領疑惑に対して)自分自身を含めて数人の証人が証言する用意があると発言。

    【イラン情勢(ボルトン元米国連大使の国家安全保障補佐官任命の影響)】
    ◆3月22日、トランプ大統領はマクマスター国家安全保障問題担当大統領補佐官を解任し、ジョン・ボルトン元米国連大使の任命を決定した。ボルトン大使は、ハメネイ師を最高指導者とするイラン革命政権の打倒を明言する筋金入りのタカ派。トランプ大統領が側近を対イラン強硬派で固めたことで2015年のイランの核合意に関する米国の制裁猶予の次回期限である5月12日までにトランプ政権が、イラン核合意からの離脱を宣言するのか否かが注目される。

    【イラン情勢(トランプ大統領のノウルーズに際してのメッセージ)】
    ◆春の訪れを告げる3月19日のイランの新年ノウルーズ(Nowruz)に際して、トランプ米大統領は、声明の中で、イランの現政権及びイラン革命防衛隊(IRGC)がイラン国民の財産を奪い、海外でテロを主導していると批判。20日にはホワイトハウスで、ハメネイ最高指導者を中東のヒトラーとなぞらえたムハンマド・ビン・サルマン・サウジ皇太子との会談が予定されている。

    【クルド情勢(イラク)】
    ◆3月19日、イラク中央政府が国際航空便のKRG支配地域への飛行禁止を解除したことに伴い、サウジの旅客機が解禁後初めてエルビル空港に着陸。サウジ旅客機は、小巡礼(ウムラ)に向かう人々を搭乗させる予定。
    ◆3月19日イラク政府は、クルド自治政府(KRG)およびペシュメルガ兵士に対し、給与支払いのための送金を開始したと発表。一方、KRG財務省は、KRGは、140万人の公務員の給与支払いのため、9千億イラク・ディナール(約7億5940万ドル)を必要としているが、中央政府からはその約1/3の送金を受けたに過ぎないと発言。

    【クルド情勢(シリア)】
    ◆3月18日エルドアン大統領は、ガリポリの戦い(トルコは「チャナッカレの戦い」と呼ぶ)103周年記念日に際して、トルコ軍と自由シリア軍が同日午前8時半にアフリンの市内中心部を完全に制圧したと宣言した。クルド側YPG(クルド人民防衛隊)は、アフリンを死守することなく撤退し、市街戦は回避されたが、今後はゲリラ戦に転じると宣言。トルコ軍が、今後、ユーフラテス川西岸のマンビジ制圧を目指すのか否か、その場合のロシア、米国の対応が注目される。

    【イエメン情勢】
    ◆イエメン内戦の当事者である反政権側武装組織のホーシー派と2015年3月以来イエメンでの軍事作戦を開始したアラブ連合軍を率いるサウジ・アラビア政府関係者との間で、オマーン国内で秘密裡にイエメン紛争の包括的な解決を目指して協議を続けていることが判明。3月16日にアラーウィ外務担当国務相(実質的な外務大臣)がホーシー派に影響力を有するとみられるイランを訪問し、一方、対ホーシー軍事作戦を指揮しているムハンマド・ビン・サルマン・サウジ皇太子は、3月20日にホワイトハウスでトランプ大統領と会談を予定しており、イエメン内戦終結に向けて進展があるのか注目される。

    【イエメン情勢】
    ◆アラブ世界初の女性ノーベル平和賞受賞者(2011年)であるイエメン人タワックル・カルマーン女史は、ある日本人女性活動家がイエメン政府の許可なく、UAE経由でソコトラ島(世界遺産に登録されたインド洋の秘境)を訪問できると語ったことに関して、UAEは現在ソコトラ島およびイエメンの重要地域を占領しており、正統なイエメン政府に引き渡すべきであると発言。

    【軍事情勢(シリア)】
    ◆シリアの首都ダマスカスの東側に位置する東グータ地区におけるシリア政府軍部隊の進軍が続いており、2月24日の進撃開始後3月8日までに反体制派が支配していた東グータ地区の約5割を奪還。包囲網の西側と東側の要衝ベイト・サワ(Beit Sawa)を連結することによる東グータ地区の上下分断まで、約1kmに迫っている。

    【クルド(シリア】
    ◆2月27日、プラハでチェコ当局に拘禁されていたサーレハ・ムスリム前PYD共同代表は釈放された。トルコは、身柄引き渡しを求めていた。

    【クルド(シリア】
    ◆2月24日サーレハ・ムスリム・シリア民主統一党(PYD)前共同代表は、訪問中のチェコ・プラハのホテルでチェコ警察に拘束された。トルコは、PYDをテロ組織とみなすクルド労働者党(PKK)と同根のテロ組織とみなしており、ムスリム氏についてもチェコ当局に対してインターポールを通じた身柄拘束を要請していた。ムスリム氏は政治部門の代表として頻繁に欧州を訪問していた。

    【軍事情勢(シリア】
    ◆国連安保理は2月24日、シリアの東グータ地区等において人道支援を可能にするための30日間の敵対行為を遅滞なく停止(cessation of hostilities)することをすべての関係当事者に要求する決議2401を全会一致で採択(棄権なし、反対なし)。

    【中東和平(米国駐エルサレム大使館の開設予定)】
    ◆2月23日米国務省は、イスラエルの建国記念日にあたる5月14日にあわせて駐イスラエル米国大使館のエルサレム開設を現総領事館の施設の一部を利用して行うとの声明を発出。

    【軍事(シリア情勢)】
    ◆2月19日モスクワで開催された「中東におけるロシア、あらゆるフィールドにおける役割遂行」と題する恒例のバルダイ討論会開幕セッションでラブロフ・ロシア外相はスピーチし、米国はシリアで「火遊び」するべきではなく、国家の主権と領土の一体性を維持しなければならないと発言。

    【クルド(シリア)】
    ◆2月19日シリア国営TVは、シリア政府軍がまもなくシリア北西部アフリンのクルド人支配地帯に、政権側とクルド武装勢力との合意に基づき、進軍を開始すると報道。

    【宗派対立(イスラエル・イラン関係、イスラエル・アラブ諸国関係)】
    ◆2月18日、ミュンヘン安全保障会議でネタニヤフ・イスラエル首相は「我々は必要に応じて、イランの代理勢力(注:ヒズボラ等)だけでなく、イランそのものに対しても行動を躊躇わない、イスラエルの決意を決して試さないように」との警告を発した。 演説後の記者会見で、首相は、イスラエル同様イランを脅威とみなすアラブ諸国との関係に触れ、「イスラエルは、私が生涯で想像もできなかったほどのアラブ諸国との一過性ではない新たな関係を築いたという事実」に言及。

    【クルド(イラク)】
    ◆2月17日ミュンヘンでの安全保障会議のマージンで、2017年9月25日のイラク・クルディスタンの独立を問う住民投票以来、3度目となるネチルバン・バルザーニKRG首相とアバーディ・イラク首相の会談が実施された。

    【クルド(シリア)】
    ◆トルコ・米両国は、16日トルコを訪問中のティラーソン米国務長官とチャブシュオール・トルコ外相との会談後発出された共同プレス声明の中で、両国は懸案(注:米国のクルド支援や、クルド部隊のシリア北部マンビジからの撤退等クルド問題が議題の中心になるとみられる)を解決する決意を確認し、そのために結果重視のメカニズム構築に合意し、そのプロセスが3月中旬までには開始されると表明。

    【中東和平】
    ◆2月15日、オマーンのユースフ・ビン・アラウィ外務担当相(注:オマーンでは、カブース国王が外務大臣兼務)が、イスラム教徒にとっての第3の聖地とさられているエルサレムのアルアクサ・モスクと岩のドームを訪問。外交関係のないアラブ諸国の閣僚級の訪問としては異例。

    【イラク復興支援】
    ◆2月14日のイラク復興支援会合最終日の各国各機関の拠出表明額は、全体で300億ドルで、イラク政府が必要と試算した882億ドルに遠くは及ばなかった。

    【マイノリティ】
    ◆13日,ミャンマーの首都ネーピードーにおいて,反体制武装勢力の新モン州党(NMSP)とラフ民主連盟(LDU)の全国停戦合意(the National Ceasefire Agreement:NCA)への署名が行われました。

  3. 過去1?2か月
  4. 【中東和平】 エルサレム帰属に関する国連安保理決議案、米国拒否権発動(14対1)(2017年12月18日於:NY国連本部)
    【軍事】プーチン・ロシア大統領フメイミム空軍基地を電撃訪問し、ロシア軍の部分的撤退を表明(2017年12月11日 於:シリア)

  5. 過去1年
  6. それ以前

成果物

注目の出来事についてのコメント、解説、分析を項目ごとに掲載します。

  1. 【宗派対立】
  2. 【中東和平】
  3. 【クルド自治・独立】
  4. 【マイノリティ】
  5. 【復興】 シリア、イラク
  6. 【エネルギー】
  7. 【軍事・テロ対策】
  8. 【難民・国内避難民】
  9. 【文化・宗教】

当研究会について

1.名称:中東・イスラム世界社会統合研究会 Middle Eastern and Islamic World affairs Study Group focused on Social Integration
2.位置づけ:社会デザイン学会公認の研究会
3.趣旨
国際社会において民族、宗教、文化や言語、習慣の異なる人々の排斥、排除の趨勢が強まっている一方で、少数民族や少数宗派の独立、自治拡大の要求が強まっており、多数派や権力を行使する側との対立が深まり、本来的に不必要な混乱や不意の衝突が発生することが危惧されている。少数派が独自の文化・伝統や正当な権利を享受できるような多様性を許容する社会のありかた、少数派と多数派、あるいは権力側との共存を促す社会統合のための制度設計、取り組みについて、中東・イスラム世界に焦点をあて、現実の地域情勢を踏まえて分析するとともに、分析結果を積極的に日本語、および英語で発信する。
4.活動
(1)中東・イスラム世界で焦点があたっている民族・宗派対立の動き(例えば、スンニー派・シーア派の対立、パレスチナ問題、クルド自治・独立問題、ヤジディー教徒問題、イエメンやリビアの紛争、ミャンマー・ロヒンギャ問題、フィリピン・ムスリム住民のミンダナオ自治拡大問題等)をフォローし、対立の構図を浮き彫りにし、対立や混乱を回避しながら、紛争当事者がいかなる形態の政治的権利を主張し、何を確保したいのか、それに対して中央政府や周辺国はどのような立場をとるのか、妥協点はあるのかをまとめ、発信する。問題解決に向けての動きをまとめ、発信する。
(2)発信のベースとして、HPを立ち上げ、成果物を蓄積するとともに、特に重要と認められる成果物については、電子出版を検討する。
(3)不定期に中東・イスラム問題の専門家を招いて、公開・非公開勉強会を実施する(例えば、中東駐在の一時帰国者等)。

お薦め電子書籍・文献等

  1. 研究会関係者の電子書籍
  2. 研究会関係者発表の文献
  3. 研究会関係者の寄稿・記事等
  4. 電子出版にご関心のある方へ (電子出版に挑戦してみたい方へのお誘い)

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