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![]() ティーポット(çayçaydanlık)とグラス(çaybardak) ![]() チャイクルの人気商品 チャイクルのHPより ![]() 茶園 チャイクルHPより |
紅茶は日本でもよく親しまれており、本格的に香りや味を楽しめる茶葉や手軽に飲めるティーバッグ、自動販売機でも購入できるペットボトルまで、多種多様な商品が出回っている。最近ではイギリス発祥のアフタヌーンティーも中心に人気がある。 これほど飲まれている割には、トルコでのチャイの歴史はそれほど古くない。 大きな転換点となったのが、1973年のチャイクル(Çaykur)設立である。国営機関として設立されたチャイクルは茶の生産、研究で主導的な役割を果たすとともに、10,600人の従業員を抱え、地域の雇用の創出や経済成長に貢献している。チャイクルは大規模茶園を経営しているわけではなく、主に中小の茶生産者約20万人と契約し、46の茶工場を保有している。2019年の同社の報告によれば、国内で生産された新茶のうち53%はチャイクルによるものである。 しかし、今後のトルコの茶産業の発展は楽観できない。市場はチャイクルを含めた4 社が78%のシェアを占めるという寡占状態になっていて、競争力のある分野とは言えないためだ。さらに問題なのは、チャイクルが2017年から損失を出し続けていることである。その理由として、過剰な広告宣伝費、人件費、有機茶にカビが生え大量に廃棄したことによるコスト増、といった運営のまずさ、さらに品質基準や価格設定まで政治的に決定されており企業としての自律性がないことも指摘されている。この結果、上述したように輸出量は世界35位であるが、輸入量は世界25位でありトルコより生産量の少ない国から輸入する羽目になっている。 トルコの茶生産地では、冬季の積雪により害虫の発生が抑えられ殺虫剤が不要なので、良質な有機茶が生産できる。トルコの良質な茶を世界に届けられるよう、チャイクルの体質改善と業界の活性化を行う必要があるだろう。 | |
参考資料
Oya Yildirim and Oya Berkay Karaca, ”The consumption of tea and coffee in Turkey and emerging new trends”, Journal of Ethnic Foods, (2002)9:8. Khalid Mahmood Khawar, “History of tea production and marketing in Turkey”, International Journal of Agriculture & Biology, Vol.9, No.3, 2007. Arif Furkan Mendi,”Türkiye çay endüstrisi Sektörel ve amprik bir çalışma”, International Journal of Social Science and Education Research,Yıl. 2018, Cilt.4, Sayı.2. https://www.fao.org/3/MW522EN/mw522en.pdf https://www.worldstopexports.com/tea-exports-by-country/?expand_article=1 https://www.bbc.com/turkce/haberler-turkiye-56974086
なお、紅茶も緑茶も同じ茶の木から採れる。収穫後の製法の違いにより紅茶や緑茶に分かれる。 |